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8月28日に発表された「次にくるマンガ大賞 2024」にて、『ふつうの軽音部』がWebマンガ部門の1位に輝いた。同作は女子高生たちを主人公としたバンドもので、一見すると王道……というよりありふれた設定のマンガに見えるかもしれない。しかし実際には、“ふつうなのにふつうじゃない”エッジのきいた魅力こそが読者のハートを掴んでいる。
#次にくるマンガ大賞2024
Webマンガ部門 🏆第1位🏆
超等身大の全力青春ドラマ『ふつうの軽音部』
最新コミックス3巻、超好評発売中‼️
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— 少年ジャンプ+ (@shonenjump_plus) September 3, 2024
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同作は2024年1月より「少年ジャンプ+」にて連載が行われている作品。あらすじとしては、高校進学をきっかけにギターを始めた女子高生・鳩野ちひろが軽音楽部に入部し、バンド仲間たちを見つけていく……という流れとなっている。
初めてのギターを買ったり、初めてのバンドを結成したりと、ギター初心者が徐々にステップを上がっていく様子が描かれており、設定だけ見ると至ってオーソドックスだ。古くは『けいおん!』、最近では『ぼっち・ざ・ろっく!』のようなガールズバンドものに近いところもある。
『ぼっち・ざ・ろっく!』に近いといえば、主人公の“秘めた才能”に関する描写は1つの共通点だ。“ぼっちちゃん”こと後藤ひとりは元々ギターの腕前が一級品で、動画投稿者として高い評価を得ていたほどだが、人前で実力を発揮できないという制約があった。それに対して『ふつうの軽音部』のちひろは人の心を震わせる歌声をもつが、メンタルの弱さからあまりその才能が周囲に気づかれていない。泥臭い努力と成長を経て、才能がきらめく瞬間をつかみとる展開は、王道ではあるが誰もが興奮を覚えるはずだ。
しかし同作ならではの特徴として、“ふつうさ”をリアルに描いているという点は印象的。たとえば序盤にちひろは元ナンバーガール・向井秀徳も使用しているフェンダーのテレキャスターというエレキギターを買うが、その直前には「初心者の私がそんな高いギター買う必要あるか!?」と葛藤していた。ギターを経験したことがある人なら、「あるある」と共感できる描写だろう。
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また軽音楽部のドロドロとした人間関係も描いており、ちひろが最初に結成した「ラチッタデッラ」は女子2人、男子2人による男女混合バンドだった。詳細は省略するものの、そこではちょっとした恋愛絡みのトラブルが巻き起こる。さらにその後も、軽音楽部内で生々しい人間ドラマが繰り広げられる……。
外から見るとキラキラとした青春でも、高校の部活には惚れた腫れたの“ダサい”トラブルが付き物。それを正面から描いているのが、同作の斬新さではないだろうか。
とはいえ、ちひろ自身は軽音部内のドロドロとした人間関係にほとんど関わらない。部活内の中心人物ではなく、みんなの輪から少し外れている立ち位置なので、ゴシップを外から眺めているような感覚だ。だからこそ部員たちの恋愛トラブルもどこか他人事で、皮肉やユーモアがこもった描き方となっている。リアリティがあるのに読者は気楽に笑っていられる、独特の読み味だ。
また、同作はそもそも軽音部の“ふつう”の日常を描くだけのマンガでは決してない。ちひろを取り巻くキャラクターたちが、いずれも尖った個性を持っているからだ。
筆頭と言えるのが、初期からちひろのバンド仲間として活躍する女子の幸山厘。とあるきっかけからちひろの才能を確信し、「神」として信仰を注ぐようになる……という変人で、まるで諸葛孔明のような知略によって人間を動かしていく一面もある。
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ほかにも毒舌でひねくれ者の藤井彩目、“厨二マインド”を体現するような男子生徒のヨンスこと田端陽一など、にぎやかな面々が物語を彩っている。
どこにでもいる凡人たちの部活模様にも見えるし、どこにもいない変人たちのにぎやかな青春にも見える……。『ふつうの軽音部』はそんな不思議な世界観を楽しめる作品なので、ぜひ一読してみることをオススメしたい。
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