前回からの続き。俺はレイジ。20代後半で、服飾系の販売員をしている。2歳の息子ルイがいるが家事や育児にノータッチでいたら、妻のアヤミがブチ切れた。ちょっと前まではアヤミの実家にいろいろ助けてもらっていたが、義姉の事情もあって実家を頼れなくなったらしい。だけどそんなこと、知ったこっちゃない。そもそもアヤミと結婚したのも、子どもがデキちゃったから仕方なくといった感じだったし、俺は乗り気じゃなかったんだ。
俺は外見がいいので女性から言い寄られることも少なくなかった。泥沼になるのも面倒くさいので曖昧に流してきたが、内心もったいないとばかり思っていた。
こんなに我慢しているのに、家でも我慢して協力しろだなんて話が違う。でも結局、アヤミは息子ルイを連れて出ていき、その後離婚が成立した。ルイとの別れは寂しかったが、アヤミがいなくなったのは「まー、しょうがないか」くらいにしか思えなかった。あれだけ俺と結婚したがっていたアヤミから離婚をつきつけられたのは意外だったが、俺は自由に過ごせる嬉しさでいっぱいだった。
20代後半だった俺も30代となった。3年と聞くとそう年数が経ってないようにも思えるが、この3年はものすごく変化した期間でもあった。離婚してしばらく経ったあたりから、友人たちの結婚ラッシュが始まった。なにより一番変わったのは俺。転職したし、飲み仲間がいなくなった代わりに、自分の好きなものを食って飲んで心を満たすようになり、ちょっとだけふくよかになってしまった。
|
|
テレビ越しのアヤミは、昔よりずっときれいになっていた。話し方に落ち着きがあり、品もある。そのうえテレビに出るなんて、働きながら順調にキャリアアップしていった証拠だ。俺は、自分が原因で離婚したことから職場で冷たい視線を浴び、居心地が悪くなって安い給料のところに転職したというのに……。
家事育児と仕事を両立しているアヤミがキラキラしていて、自由になったはずの俺がこんな状況。あれ、何だこれ? 自分より下の場所にいたはずのアヤミが、ずっと上の遠いところへ行ってしまった……?
【第7話】へ続く。
原案・ママスタコミュニティ 脚本・大島さくら 作画・ちょもす 編集・横内みか