「犯罪を学ぶ学校」で1年間の訓練を終えれば、学費以上の金額を得ることができるというが…(『Dialogue Pakistan 「“Paid Indian thieves’ schools” teach children to pick pockets」』より) インドのマディヤ・プラデーシュ州には、お金を払って通う「犯罪を学ぶ学校」がある。12歳〜13歳の子どもたちがそこで1年間学んだ技術を活かし、ギャングのもとで働くことにより、親たちは学費以上の金額を得られるという。閉鎖的な村のために警察も苦労していたが、徐々に取り締まりに成功していると印ニュースメディア『NDTV.com』などが報じた。
【この記事の他の写真を見る】
マディヤ・プラデーシュ州の州都ボーパールから約117キロメートル離れたカディア、グルケディ、ハルケディの3村には「窃盗、強盗、ダコイティ(集団強盗)の技術」を教える学校があることがインド国内で話題になっている。
実際に犯罪の技術を学ぶのは、12歳〜13歳の子どもたちだ。彼らは親に送られ、犯罪の技術を学ぶカリキュラムに登録するため、家族は20万ルピー〜30万ルピー(約34万6000円〜51万9000円)の費用を払わなければならない。決して安くはないが、1年間の訓練を終えると子どもたちの親はギャングのリーダーから年間30万ルピー〜50万ルピー(約51万9000円〜86万5000円)の支払いを受けられる。そのため、我が子を入学させようとする親があとを絶たない。
1年間に子どもたちは、混雑した場所でのバッグの奪取、素早く逃げる技術、警察からの逃避方法、捕まった場合に殴られることを耐える方法など、さまざまな犯罪スキルを習得する。ここで学ぶ子どもたちは、教育が不十分で貧困層の家庭が多いが、裕福な家庭に馴染んで富豪たちの結婚式に紛れ込む方法まで習得するのだ。
そのような犯罪スキルを用いた事件が、現地時間8月8日に発生した。ラージャスターン州ジャイプルのハイアットホテルで実業家の息子の豪華な結婚式が行われ、その際に1500万ルピー(約2595万円)相当の宝石と10万ルピー(約17万3000円)の現金が入ったバッグを未成年の泥棒が盗んだ。新郎新婦が祝福を受けている間、新郎の母親が近くに置いた白いバッグを、未成年の泥棒は慎重に奪い、貴重な中身を持ち去った。盗みを働いた後はカディア村に逃げ込み、盗まれた宝石を迅速に処分した。その後、カンワーヤートラ(Kanwar Yatra)という祭りのために巡礼中のヒンズー教徒たちに紛れ込んで逃げ切ろうと試みた。しかし、迅速な捜査の結果、盗みに関与していた未成年の泥棒が逮捕され、ギャングの一団が摘発された。
他にも、3月にはハリヤーナー州グルガーオンで24歳の容疑者が、また昨年12月にもデリー首都圏で22歳の容疑者が、いずれも結婚式で宝石が詰まったバッグを盗んで逃走していた。
犯罪組織の規模が極めて大きく、3つの村から2,000人以上が関与しており、全国の警察署で8,000件以上の事件が記録されている。閉鎖的で外部からの人への警戒心が強い村では、警察官も活動が困難だった時期があったが、近年では警察が取り締まりを強化し、事件解決ができるようになっている。
画像は『Dialogue Pakistan 「“Paid Indian thieves’ schools” teach children to pick pockets」』『NDTV.com 「Pay ₹ 2 Lakh, “Graduate” In Robbery: A “School” Of Criminals In Madhya Pradesh」』より
(TechinsightJapan編集部 MM)