政府は10日、2025年大阪・関西万博の関係者会合を首相官邸で開いた。大阪府の吉村洋文知事は、会場に隣接するカジノを含む統合型リゾート(IR)の工事について、万博開催中も騒音対策などを講じた上で継続すると報告した。岸田文雄首相は万博の課題として「まず機運醸成だ」と述べ、海外パビリオンの情報などを積極的に発信していく意向を示した。
IR工事を巡っては、景観の悪化や騒音への懸念から、博覧会国際事務局(BIE)のケルケンツェス事務局長らが万博開催中の中断を求めていた。
吉村氏は会合で、くい工事を2カ月延期して騒音のピークを閉幕後にずらすことや、工事車両の総数を約14%削減することなどを説明。IR事業者を含めた連絡調整会議も新設し、「万博に悪影響が生じないよう進める」と強調した。
これに対し、ケルケンツェス氏は「連絡調整会議が有効に機能しなければ、万博の成功を危うくするだけでなく、参加国や来場者からの強い反発に直面することになる」とのコメントを出した。
大阪・関西万博に関する関係者会合で発言する大阪府の吉村洋文知事(右)=10日午後、首相官邸