公明党の山口那津男代表(72)は10日の記者会見で、自身の任期満了に伴う18日告示の代表選に出馬せず、今期限りで退任する意向を表明した。石井啓一幹事長(66)が代表選に立候補する意向を固めており、2009年以来15年ぶりに代表が交代する。
山口氏の在任期間は98年の党再結成以来最長の8期。会見で山口氏は岸田文雄首相(自民党総裁)の退陣表明や立憲民主党の代表選に触れ、「政治の世界で世代交代の波が押し寄せている。次の世代にバトンを譲るべきだと決断した」と強調。「中堅・若手の人材も育ち、新しい陣容を整える状況が来た」とも語った。自身の改選を迎える来夏の参院選については「自分自身のことは最後に判断したい」と述べるにとどめた。
代表選は石井氏以外に出馬の動きはなく、18日に代表就任が確定し、28日の党大会で正式に選出される。
公明は石井氏の後任として西田実仁選対委員長(62)を幹事長に起用する方向で調整。将来を見据えて執行部の若返りを図るため、中堅クラスを党幹部に起用することも検討している。
石井氏は高い実務能力に定評がある一方、自民とのパイプの細さや発信力不足が課題と指摘されている。山口氏は22年の前回党大会で石井氏への交代を模索したが、翌年に統一地方選が控えていたことなどから、安定感のある山口氏が続投し、白紙となった経緯がある。
比例代表北関東ブロック選出の石井氏は次期衆院選で埼玉14区に挑戦する。公明は09年衆院選で太田昭宏代表(当時)ら幹部が相次いで落選したことがあり、党内には「石井氏は議席が約束されたわけではない。万が一があれば最悪だ」(関係者)との声もある。自民派閥の裏金事件で与党への風当たりが厳しい中、次期衆院選が新執行部にとって最初の試練となりそうだ。