地元を離れて暮らしているみなさんのなかには、「地元に帰りたい」と考える人もいるのではないでしょうか。株式会社明治安田総合研究所(東京都千代田区)が実施した「地元愛」に関するアンケート調査によると、地元を出た人の約2人に1人が「将来地元に戻りたい」と回答したことがわかりました。では、地元に戻りたいと思う都道府県はどこが多かったのでしょうか。
調査は、「公務員」「経営者・役員」「会社員」「自営業」「自由業」「パート・アルバイト」をしている全国の18〜69歳の男女5555人を対象として、2024年7月にインターネットで実施されました。
まず、地元を出ている2641人に「地元を出た理由」を教えてもらったところ、「就職のため」(39.6%)や「進学のため」(26.4%)に回答が集まりました。
これを男女別に見ると、平成生まれの女性(920人)では「実家から独立したかった」(13.8%)と「地元が好きではなかった」(7.4%)が他グループより高くなったほか、「就職のため」(36.0%)と回答した割合は、昭和生まれの女性(486人)の19.5%と比べて一段と増えており、やりたい仕事を求めて地元を出る傾向は近年強まっていることがうかがえました。
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続けて、「将来、地元に戻りたいですか」と尋ねたところ、全体の49.3%が「戻りたい」と回答し、地元を離れてからあまり年数が経過していないとみられる平成生まれのほうが、地元に戻りたいと考える気持ちが強いことが見て取れました。
ただし、「地元に戻りたい」と答えた割合を平成生まれの男女別に見ると、平成生まれの男性(442人)が58.1%であったのに対して、平成生まれの女性(920人)では50.0%にとどまっています。
次に、「将来、地元に戻りたいと思う都道府県」を調べたところ、1位「沖縄県」(75.0%)、同率2位「新潟県」「福岡県」(いずれも64.5%)、4位「神奈川県」(62.9%)、同率5位「愛知県」「兵庫県」(いずれも61.3%)という結果になりました。
また、「将来、地元に戻りたい理由」については、「地元が好きだから」(53.6%)が最多に。
これを男女別に見ると、男性は「土地や家屋などを相続するから」(平成生まれ13.6%、昭和生まれ19.1%)の割合が高い一方で、女性では「家族の近くで住みたい・住む必要があるから」(同43.0%、同39.5%)や「友人や知人が多く住んでいるから」(同32.2%、同31.0%)の割合が高くなっているほか、平成生まれは「自分の地元で子育てをしたいから」(平成生まれ男性12.8%、平成生まれ女性18.0%)を理由に挙げる人の割合が、昭和生まれ(男性2.7%、女性3.3%)に比べ高くなりました。
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さらに、「地元に帰りたいと思うシーン」では、「地元で暮らす親や親戚と話した時」(29.5%)が最多となったほか、「今住んでいる場所での人間関係に疲れた時」(21.6%)や「今住んでいる場所での暮らしに孤独を感じた時」(18.3%)という意見も挙げられ、今住んでいる場所でうまくいっていない時に地元に帰りたいと考える人が多いことがうかがえました。
一方、「地元に帰りたくない」と答えた1338人に「地元に戻りたいと思うようになる条件」を教えてもらったところ、「やりたい仕事や就職先があれば」(43.4%)が最も多く、次いで「交通インフラが充実していれば」「住環境が良ければ(いずれも29.0%)といった意見が挙げられました。