東京慈恵会医科大(東京都)などの研究グループは11日までに、新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言が出された2020年4月以降、ターミナルケア(終末期医療)の利用回数や自宅でのみとりが急増していたとする調査結果をまとめた。感染を恐れた病院の受診控えや入院者減少、面会制限が影響したとみられるという。
研究は、慈恵医大の青木拓也准教授と飯塚病院(福岡県飯塚市)の柴田真志医師らが実施。個人のレセプト(診療報酬明細書)や特定健診情報を集計した厚生労働省のデータベース「NDB」で2019年4月〜22年3月の在宅医療サービスの利用状況を分析し、訪問診療、往診、終末期医療、自宅でのみとりの変化を調べた。
その結果、終末期医療やみとりは緊急事態宣言が出た20年4月に急増し、その後も増加。訪問診療には大きな変化は見られなかったが、往診は増加傾向にあった。
医療機関別では、24時間医師が往診可能などの基準を満たした在宅療養支援診療所・病院(在支診・在支病)で、終末期医療の増加が確認された。
青木准教授は「在宅医療サービスは外来や入院と比べ、地域格差が大きい。在支診・在支病を地域ごとに整備することで、医療資源の充実につながる可能性がある」と話している。