J1リーグ終盤戦、頂点に立つチームはどこだ! 識者が大胆予想

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2024年09月12日 17:40  webスポルティーバ

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2024シーズンJ1リーグもいよいよ終盤戦。残り9節(残り10試合、11試合のチームもある)となった。注目の優勝争いは、今季も激戦。ここ数年に比べて多くのチームにチャンスがあるが、はたして最後にタイトルを手にするのはどこか。

2024−2025 AFCチャンピオンズリーグ(以下、ACL。エリートおよび2も同様)も始まるなか、優勝争いの行方はどうなるのか、まったくわからない。そこで、Jリーグに精通する識者3人に頂点に最も近いのはどのチームか占ってもらった――。

本命は持てる力を安定して発揮し続けられる町田
ACLという"足かせ"がないのも有利

浅田真樹氏(スポーツライター)

本命=FC町田ゼルビア
対抗=サンフレッチェ広島
穴=ヴィッセル神戸

 単純に勝ち点だけを見れば、5位のガンバ大阪(勝ち点48)まで優勝の可能性がありそうだが、現実的な優勝争いは、首位のサンフレッチェ広島(同55)、2位の町田ゼルビア(同55)、3位のヴィッセル神戸(同52)のトップ3に絞られたと見る。

 最も勢いがあるのは、広島で間違いない。クラブ新記録のリーグ戦7連勝で一気に首位に立ったのは、クラブ全体がいい雰囲気で戦えている証拠だろう。

 ただし、記録的な連勝の達成の一方で、引き分けがトップ3のなかでは最多の10試合もあり、勝ちきれない試合が多いのも気になるところだ。

 広島を勝ち点3差で追う神戸は、昨季優勝の経験が大きい。シーズン終盤、横浜F・マリノスに迫られながらも直接対決を制し、初優勝へと突き進むことができた自信は、今季の優勝争いにおいても大きな力となり得るものだ。

 とはいえ、シーズン全体を通して見ると、上を行く町田を捕まえられないまま、徐々に順位を落としてしまった印象を受ける。ここに来て3位まで順位を戻し、首位を射程圏内に捉えてはいるが、昨季ほどの勝負強さは感じられない。

 やはり優勝の可能性が最も高いのは、地力では前述の2クラブには劣るものの、持てる力を安定して発揮し続けられる町田ではないだろうか。

 今季第2節以降、順位を3位以下に落としたことがなく、おおよそ首位をキープ。連敗が一度もないばかりか、敗戦の次節はほぼ勝つ(5勝1分け)という立て直しの的確さも、今季の安定した戦いにつながっている。トップ3のなかでは唯一、ACLという"足かせ"なく佳境を迎えられるのも有利な材料となるだろう。

 30年以上の歴史を持つトップリーグにおいて、初昇格初優勝のクラブが誕生してしまうことには危機感すら覚えるが、その可能性はかなり高まっている。

現在7連勝中の広島には勢いがあるが...
本命は神戸。井出遥也が連覇へのキーマン

杉山茂樹氏(スポーツライター)

本命=ヴィッセル神戸
対抗=サンフレッチェ広島
穴=鹿島アントラーズ

 今現在の調子で言えば、サンフレッチェ広島。昨季からの流れで言えば、ヴィッセル神戸。Jリーグ史におけるヒエラルキーに従えば、鹿島アントラーズ。さすがに、FC町田ゼルビアは難しいだろう。とすれば、ラスト9節は上記3チームの三巴になる。

 広島は現在7連勝中。得点11でチームの稼ぎ頭だったFW大橋祐紀がイングランド2部のブラックバーンに移籍したことで攻撃力ダウンが心配されたが、MF川辺駿、そしてMFトルガイ・アルスランがその穴を埋めている。

 特に目を引いたのは、アルスランが第29節のFC東京戦でマークしたハットトリックで、PKを除く2ゴールは偶然性の低い個人能力の高さ感じさせる、Jリーグでは最高レベルの内容だった。終盤に向けて最も目を凝らしたい選手になる。広島と言えば安定性だが、現在は先頭を走るに足りる勢いもある。

 だが、本命は神戸だ。昨季の成功体験が、広島の勢いをわずかに上回ると見る。よく言えば、シンプル。その球離れの速いサッカーにあって、キープレーヤーとなるのがMF井出遥也だ。FW大迫勇也、FW武藤嘉紀、MF山口蛍、MF扇原貴宏ら元日本代表の看板選手と比較した時、井出の知名度は全国的に高いとは言えないが、その技巧的プレーは今やアクセント役として外せない存在になっている。連覇を狙うキーマンだと見る。

 鹿島は順番論でいくならば、優勝候補の本命だった。以前から横浜F・マリノス、川崎フロンターレの次は鹿島だと見ていたが、昨季は5位に終わり、今季も現状4位と今一歩、はじけることができずにいる。首位広島とは1試合未消化の現状で勝ち点7差があるが、次節の直接対決で勝利すれば状況は変わる。勝ち点差は大幅に詰まる。逆に敗れればその瞬間、終焉を迎える。

 広島は鹿島戦の次はここに来て昇り調子の横浜FM戦だ。近々に大一番が2試合続くことも、今この時点で広島を本命に推せない理由だ。

本気度が伝わってくる大型補強を断行した町田が本命
穴は新戦力の活躍次第で巻き返しが見込める鹿島

中山 淳氏(サッカージャーナリスト)

本命=FC町田ゼルビア
対抗=サンフレッチェ広島
穴=鹿島アントラーズ

 実力とチーム状態を考えると、現時点で優勝争いの本命と思われるのは、目下7連勝中のサンフレッチェ広島だ。

 最大の要因は夏の補強が成功したことで、とりわけゴール量産中のMFトルガイ・アルスランの獲得はチーム状況を大きく変えた。中盤に川辺駿を加えたこともプラス材料で、さらに実力者FWゴンサロ・パシエンシアが前線に加わるため、スカッドの完成度はリーグ屈指だ。

 ただし、広島は優勝争いが佳境を迎える大事な時期にACLに参戦するため、過密日程という大きな敵とも戦わなければならない。さすがに最後まで現在の勢いを維持するのは厳しいだろう。

 そうなると、総合的に見た場合、優勝の本命と目されるのはこれまで首位を快走してきたFC町田ゼルビアになる。ここにきて白星が減少気味ではあるが、今夏の市場ではDF中山雄太とFW相馬勇紀というふたりの日本代表に、DF杉岡大暉、MF白崎凌兵ら即戦力も加入。フロントの本気度が伝わってくる大型補強を断行した。

 しかも、ACLを戦うライバルの広島やヴィッセル神戸と比べると、町田は日程的に余裕を持って戦える。初のJ1で初年度に初優勝という歴史的快挙達成は、十分に可能性があると見ていいだろう。

 ダークホースとして挙げたいのは鹿島アントラーズだ。6月以降に調子を落として勝利が減少したが、今夏にはヨーロッパから帰国したMF三竿健斗、FW田川亨介に、新戦力のMFターレス・ブレーネルが加入。彼ら新戦力が活躍すれば、終盤の巻き返しも決して不可能ではないはず。最終節はホームに町田を迎えるだけに、そこまでに勝ち点をどれだけ積み重ねられるかが、逆転優勝のための大きなカギになる。

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