『佐々木、イン、マイマイン』(2020年)で映画界の注目を集める内山拓也監督の商業長編デビュー作『若き見知らぬ者たち』。同作の主人公・風間彩人(磯村勇斗)の弟で総合格闘技の選手の壮平役を演じる福山翔大は、1年にも及ぶトレーニングを経て、劇中最大の見せ場となる1カット7分にも及ぶ長回しで撮影された総合格闘技マッチのシーンに挑んだ。今回その場面カットが解禁となった。
【写真】臨場感あふれる福山翔大の総合格闘技マッチシーン 「何が何でも、この物語を届けたい。」本作の脚本に強く惹かれ、1年にも及ぶトレーニング期間を必要とする格闘技選手役を快諾した福山翔大。そこからジムに通い、食事制限を課し、日々の生活が一変したが「全てを懸けられる作品に出会えた喜びのほうが勝った」といい、本作にかける思いは並々ならぬものだったという。
1カット7分にも及ぶ長回しという前代未聞の総合格闘技シーン撮影を実現させるため、日本屈指のブラジリアン柔術・総合格闘技のジムとして知られるトライフォース柔術アカデミーと、日本修斗協会が全面協力。2022年10月、クランクインの1年前に内山監督と共にトレーニングをスタート。
序盤は寝技を中心に習得。見た目は地味だがそこをおろそかにすると偽物だとわかってしまうため骨の折れるような鍛錬を日々重ねた。並行してウエイトによる肉体改造も行いながら、数ヵ月かけて地道なトレーニングを続けていく。
試合シーンの監修は修斗の元環太平洋チャンピオンの佐藤ルミナ氏が担当。内山監督と佐藤ルミナ氏によって練られた試合内容の型に沿ってトレーニングを本格化させたところ、福山の才能が開花。佐藤が日本一の選手になれる逸材とお墨付きを与えるほどに成長した。
今回、そうして撮影された総合格闘技マッチの裏側を捉えたメイキング映像が公開となった。撮影に入るまでのトレーニング風景や、福山が試合(シーン)に臨む前のインタビューや対戦相手役のプロの格闘家ファビオ・ハラダ選手と入念に動きをチェックする様子、実際の試合シーンに臨む福山の姿などが収められている。
途中カットをかけない長回しを用いることで、実際のプロ格闘技戦に勝るとも劣らない臨場感の死闘が繰り広げられ、観客の熱気と声援に後押しされながら類をみないリアリティのある映像が完成した。
■佐藤ルミナ氏コメント
福山君は元々空手をベースに持ち、さらに約1年間、柔術の名門トライフォースで組技の基本を叩き込まれていました。そのため、私は技そのものではなく、MMAで最も重要な「距離感」と「技の繋ぎのタイミング」にフォーカスして指導しました。福山君は非常に研究熱心で、集中力も抜群でした。本番では、当時の彼が持てる限りの最高のパフォーマンスを発揮できたと思います。試合シーンは、競技者も唸るほどのリアルを追求した内容になっていますので、ぜひご期待ください。
なお、9月22日(日)には、壮平のチャンピオンシップの舞台となった聖地・後楽園ホールにてプロフェッショナル修斗・後楽園ホール大会が開催される。当日は、劇中の壮平と同様、次世代のチャンピオンを狙う“若き見知らぬ者たち”の熱き闘いが繰り広げられるほか、内山拓也監督と壮平役・福山翔大が昨年の撮影以来の聖地凱旋を果たし、本作に込めた熱い想いを語るトークセッションを開催予定。チケットは修斗BASEオンラインなどで好評販売中。
■『若き見知らぬ者たち』あらすじ
風間彩人(磯村勇斗)は、亡くなった父の借金を返済し、難病を患う母、麻美(霧島れいか)の介護をしながら、昼は工事現場、夜は両親が開いたカラオケバーで働いている。彩人の弟・壮平(福山翔大)も同居し、同じく、借金返済と介護を担いながら、父の背を追って始めた総合格闘技の選手として日々練習に明け暮れている。息の詰まるような生活に蝕まれながらも、彩人は恋人の日向(岸井ゆきの)との小さな幸せを掴みたいと考えている。しかし、彩人の親友の大和(染谷将太)の結婚を祝う、つつましくも幸せな宴会の夜、彼らのささやかな日常はもろくも奪われてしまい…。
【出演】
磯村勇斗 岸井ゆきの
福山翔大 染谷将太
伊島空 長井短 東龍之介 松田航輝 尾上寛之 カトウシンスケ ファビオ・ハラダ 大鷹明良
滝藤賢一 / 豊原功補 霧島れいか
【原案・脚本・監督】内山拓也