【長岡一也=コラム「競馬白書」】
◆セントライト記念は中山巧者に注目
この10年、ローズSの出走馬で春のクラシックで牡馬に挑戦した牝馬は2頭いる。2014年のレッドリヴェールと17年のファンディーナで、2頭ともローズSは1番人気だった。そして共にここでは6着だった。
レッドリヴェールはデビューから3連勝で阪神JFを勝って桜花賞が2着、そして日本ダービーに出走して4番人気で12着になり、秋を迎えていた。
一方のファンディーナはデビューが1月と遅く、3連勝でフラワーCを勝って皐月賞に向かっていた。ここでは牡馬相手に1番人気に支持されたが今ひとつ踏ん張り切れず7着に終わり、それ以来の実戦でこのトライアルに出走していた。
この2頭とも秋は馬体重を増やしていて、プラス10キロとプラス22キロ。ジリジリ伸びるのが精一杯だったり、直線半ばで止まったりと、先をにらんで余裕残しの感があった。
今年のローズSには、皐月賞、日本ダービーと春に牡馬のクラシック路線を走ったレガレイラが出走してくる。これまでは、新馬戦を勝って2戦目のアイビーSが3着だったが、牡馬を相手にホープフルSを勝ち、3戦2勝でこの春を迎えていた。そして皐月賞から日本ダービーと牡馬二冠に挑戦し、それぞれ1番人気、2番人気と期待されたが、道中の不利などがあって6着と5着のあと一歩だった。
だが、デビューから全5戦全てで、レースの上がり3ハロンで最速をマークしており、どのレースもインパクトのあるものだった。
ハイレベルの牡馬と五分に渡り合った実績は、これまでの牝馬とは異なり、桜花賞馬ステレンボッシュ、オークス馬チェルヴィニアと秋華賞でどんな戦いをするか、次の目標に弾みをつけるものと期待したい。
このトライアルは大事な秋初戦で、好スタートを切るとみたい。
春の既成勢力に対し、夏の新興勢力をマークしておくのもローズSの定番だが、前走の御在所特別を勝って2勝目をマークしたばかりのフレミングフープを取り上げたい。
今回と同じ舞台の前走で、後方でじっくり構えて上がり3ハロン33秒5の別次元の末脚で突き抜けた戦い方は目を見張るものがあった。喉の手術で6ヶ月の休養があってこの6月から復帰して3戦3勝、血統的にこれからの可能性が大きい牝馬と見ている。
もうひとつの菊花賞トライアル、セントライト記念は中山の芝2200米、外回りコースで平均的なラップが続くレースで、このコースに向くタイプかが大きなポイントだ。
そこで目にとまったのがヤマニンアドホックだ。前走のラジオNIKKEI賞で好位からしぶとく伸びて3着だったが、これまでの全2勝が中山というコース巧者。キャリアは5戦で、全て3着以内で立ち回りがうまい。
これにやはり春のクラシックを戦ったコスモキュランダを加えたい。距離が延びるほどいいタイプだし、中山の急坂がこれまでのレースぶりから合っているのも強味だと思う。
「牡牝とも 淀の舞台で 頂点に」