プジョーはすでに、来季2025年のWEC世界耐久選手権に向けて『9X8』の競争力を高めるため、“EVOジョーカー”を追加採用する可能性を検討している。
同ブランドのテクニカルディレクターであるオリビエ・ジャンソニは、今週末に富士スピードウェイで開催されているシーズンの最後から2番目のラウンドを前に、アップデートされたプジョー9X8が引き続き苦戦していることを認めた。
今年4月に行われた第2戦イモラで大幅なアップデートが導入されて以来、ウイングが備わった改良型プジョーの最高位は第5戦サンパウロ6時間レースの8位となっている。ジャンソニは、現行の9X8にはまだ多くの可能性があると考えているが、プジョーが2025年に運命を好転させるための戦略を検討し始めるなかで、さらなるEVOジョーカーの使用が検討されていることを認めた。
「今、私たちはさまざまなことを検討している」と同氏は記者団に語った。「いくつかのことを切り離し、我々のクルマで起こっている問題を特定し始めた。とくに最後のふたつのレースは、それにかなり関連している」
「その問題の一部は、私たちが直せるセットアップだと考えている。もしセットアップで修正できないことが明確になった場合には、最終的にEVOジョーカーに目を向ける必要があるだろう」
「うまくいけば、現在のホモロゲーションを使ってある程度のパフォーマンスを見出せると思う。まだそこに100パーセント到達しているわけではないので、まずはその方向に進む必要がある」
「そこに近づいて初めて、ホモロゲーションに関して何が足りないのか、何を進化させる必要があるのかが分かるはずだ」
今週末の第7戦富士6時間と11月に開催される最終戦バーレーン8時間レースだけでなく、10月にヨーロッパの未公開の場所でプジョーが計画しているテストもフランス車メーカーの計画に影響を与えるだろうとジャンソニは付け加えた。
2025年シーズンの開幕までにさらなるアップデートが可能かどうかを尋ねられたジャンソニは「可能だ」と答えた。「パフォーマンスを向上させるためにはどうすればいいのか、私たちはそれについて真剣に検討している」
「来月(のテストで)どのような結果が得られるかによるだろう。私にとっての目標は、11月末までに明確なイメージをつかむことだ」
ル・マン24時間レースで苦杯をなめたプジョーの技術責任者は、今シーズンの残りのレースで表彰台争いに加わることを目標に掲げる一方、残る2戦で9X8の競争力が高まる兆しがほとんどないことから、この目標を達成するのは「難しい」と認めている。
「序列をひっくり返すのはかなり難しいことは明らかだが、これまでに示した以上の可能性があることは確かだ」とジャンソニ。
「トップに立てるかどうかは……正直何とも言えない。現時点では難しそうなのは同意する。しかし、もっと多くの発見があることは確かだ」
「COTA(サーキット・オブ・ジ・アメリカズ=第6戦オースティン)でのレースを見る限り、一般的にチームはCOTAで見せた以上の良いパフォーマンスを得るに値する。それが私たちが懸命に取り組んでいることだ」
ジャンソニはまた、現在とは別の方法をとる道はあったかとの質問に対して、イモラで改良型9X8を導入したことは正しいことだったと断言した。
「ル・マンでは、新しいクルマ(以前のウイングレス・バージョンよりも)少し速かったと今でも信じている」と彼は語った。「旧型のクルマは(最小重量と最大出力が与えられる)パフォーマンス・バランスの隅に位置していた」
「新しいクルマをあれより早く導入することはできなかった。もちろん(開幕戦の)カタールで行うのが理想だったが、スケジュールとタイミングの都合でそれはできなかったんだ」
「このクルマのポテンシャルを引き出すには時間が掛かっているため、できるだけ早くトラックを走らせることは最善の選択肢だったと思う。もし導入を遅らせていたら、それを達成するのにもっと時間を使っていたことだろう」