9月2日午前2時すぎのこと。神奈川県茅ヶ崎市のJR茅ケ崎駅南口近くの歩道で、同市在住の自称会社員・坂田一樹容疑者(41)は6人連れの男性会社員グループとトラブルになった。「肩がぶつかった」というのである。
坂田容疑者は持っていた傘の先端を相手に向け、会社役員男性(37)の右頬を1回突き刺すとその場から逃げた。
「いきなり傘でやられた」
「容疑者は酒に酔っており、犯行後、車道を横切って駅前タクシー乗り場方面に逃げた。しかし、被害男性と一緒にいた会社の上司がすばやく回り込んで行く手を阻み、その場で取り押さえた。110番通報は“いきなり傘でやられた”とする内容だった」(全国紙社会部記者)
被害男性は右頬打撲の軽いケガ。常人、すなわち一般人による傷害容疑の現行犯逮捕劇だった。
「坂田容疑者は茅ケ崎警察署の取り調べに対して“私がやったことに間違いありません”と容疑を認めている。同署はそもそものトラブルになった経緯などを詳しく調べている」(同・社会部記者)
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犯行現場の歩道は横幅が広く、通行人をウォッチする限り、成人4人ぐらいは難なくすれ違えていた。まして深夜帯だから通行人が多かったとは考えにくい。
容疑者はなぜ傘を持っていたのか。
気象庁のデータによると、茅ケ崎駅に近い平塚市や藤沢市辻堂の9月1日午後の天気は雨がときおりパラつく程度。辻堂で午後9時から1時間の雨量6ミリが降ったのが最大で、日付けが2日に変わってからは犯行時間帯まで降雨は記録されていない。
ノロノロ進んで列島各地に豪雨・暴風被害をもたらした台風10号は東海沖ですでに熱帯低気圧に変わっていたが、関東各地は影響を受けて不安定な天気が続いたため、坂田容疑者は傘を持って外出したのかもしれない。
雨があがっても外出先に傘を置き忘れなかったのは結構だが、結果的にそれが“凶器”となったかたちだ。
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駅近くの居酒屋で働く20代女性は、
「酔っ払いが深夜の路上でわめき散らしたり、ケンカ騒ぎを起こすのはここらへんの“あるある”です。でも一方で、サザンビーチに近いためオシャレなサーファーらが目立ち、マナーをちゃんと守る粋な酔っ払いも多いんですけどね」
と残念そうに話す。
飲食店に勤務する男性も、パトカーが出動する酔客のトラブルは何度となく目撃しているという。
別の居酒屋を経営する女性は言う。
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「肩がぶつかったぐらいで何をやっているんだか。傘で顔面を刺すなんて怖いわよね。被害者の方がたいしたケガじゃなくてよかった。下手したら失明してもおかしくないんだから、被害者、加害者の双方にとって本当によかったと思う」
この女性によると、駅周辺には居酒屋やバー、スナックなど酒類を提供する飲食店は約360軒あるという。犯行前夜は日曜日のため休業していた店も少なくなかった。
事件前から「要注意人物」だった
容疑者は、同駅からはかなり離れた賃貸の集合住宅暮らし。駅前で気になる情報をキャッチした。
「容疑者はこの周辺のあちこちの飲み屋で悪態をつきまくって、複数の店で出入り禁止になっている要注意人物だと聞いた。この事件の前からある意味、有名な男だって」(地元の飲食店事情に詳しい男性)
さらに、別の飲食店の男性は言う。
「容疑者の知人の話では、酒癖がかなり悪いみたい。飲むと暴れちゃうんでしょうね」
さまざまな業態の酒類を提供する飲食店を訪ね歩いたが、実際に容疑者を「出禁」にしていると明かす店はなかった。
酔って悪態をつくとはタチが悪い。まして他人に危害を加えるなど言語道断だ。