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水の底で木こりがオノを落とす時を待つ「泉の女神」。彼女の元へ落ちてきたのは木こりのオノではなく生身の女性で……。pixivにて投稿された漫画『木こりが泉に』で描かれるのは2人の愉快な会話劇。しかし物語の終盤では女性が泉(?)に落ちてきた背景が明らかになっていく。
(参考:漫画『木こりが泉に』を読む)
作者・こうがさん(@Kouga_ss)によると本作はイソップ童話とともに『ドラえもん』のとあるひみつ道具から着想を得た作品だという。本作を創作したきっかけ、本作を描くなかで決めたテーマなど、話を聞いた。(あんどうまこと)
ーー本作を創作したきっかけを教えてください。
こうが:イソップ童話の「金のオノ 銀のオノ」とドラえもんに登場するひみつ道具「きこりの泉」から着想を得ました。「オノではなく人の方が落ちてきたらどうなるのかな」といった感じです。
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私の創作はどのお話も共通してコメディシーンを思いつくところから始まっています。構想当初と異なる出来上がりになることもありますが……。
ーー本作を描くなかで印象に残っているシーンは?
こうが:冒頭の2ページが気に入っています。出だしの切れが良かったので。あとはエンゼルのところですね。
ーー元となった童話の舞台は湖でしたが、本作の舞台は琵琶湖でした。
こうが:本作は小学館の漫画賞に応募した作品で、当初は海外の湖が舞台でした。ですが担当の編集さんから「別に海外じゃなくてもいいのでは?」と指摘があり「確かにそれもそうだ、むしろ国内の方が描きやすいかも」と思い、国内最大級の湖琵琶湖へと舞台を移しました。
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ーー徐々に明らかとなっていく登場人物の事情に驚きを覚えた作品でした。物語を構想するなかで意識したことは?
こうが:本作はまずインパクトのある冒頭の2ページを思いつき、そこから物語がどう転がっていくのかを考えていきました。
このお話は元々ある出版社で没となったネームを小学館の漫画賞に投稿するために作り直したものです。当初は海外を舞台にした少し悲しいお話でしたが……。
修正にあたり決めた本作のテーマは選択と決断です。本作の元となったイソップ童話では欲に目をくらませることなく、正直に答えた木こりが報われます。しかし本作では童話の結末を知っている主人公が、自分の気持ちに対してどう向き合い、どう行動するかを意識しました。
ーー琵琶湖での一幕を終えて、友人宅の場面に移ったページには2つの植物が描かれました。
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こうが:小さい鉢を囲むようにたたずむ大きい鉢、そして鉢の色……つまりその、そういうことです。
ーー漫画を描き始めたきっかけを教えてください。
こうが:きっかけは大学受験に失敗し、浪人が確定したときに読んだ島本和彦先生作の『吼えろペン』です。小学生時代に手製の豆本に1コマ漫画を描いていましたが、それは一時的なもので、浪人時代に『吼えろペン』を読んだことが決定的な転換期でした。
ただ当時の私の中で漫画は紙とペンで作るものという意識が強くあったため実際に描くことはなかったです。その後は理系の大学に進学して野外活動中心の生活を過ごし、漫画とは縁のない4年間を送りました。
ですが頭の片隅には常にあの日『吼えろペン』を読んだ時に引火した、正体不明の情熱が常にくすぶっていました。そして社会人になった頃にペンタブの存在を知り、私の中の創作のハードルがぐっと下がったことで漫画を描き始め、現在に至ります。そのあとオンラインゲームで知り合った友人の勧めがきっかけで、SNSに漫画を投稿し始めました。
ーー『吼えろペン』のほか、影響を受けた作品は?
こうが:原点はあさりよしとお先生の『宇宙家族カールビンソン』だと思います。そのほか九井諒子先生の『竜のかわいい七つの子』、町田洋先生の『惑星9の休日』、久野遥子先生の『甘木唯子のツノと愛』などの空気感や雰囲気には大きく影響を受けたと思います。
ーー今後の活動について教えてください。
こうが:最後に描いた読み切りが少し悲しいお話でしたので、次は明るい話を描きたいです。あとは、いつか短編集もしくは連載作品を商業・同人活動問わず、1度は紙の本にしてみたいと思っています。
(あんどうまこと)
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