接触で痛恨のノーポイント「2度目のSCが運の尽きでした」と可夢偉。平川組8号車も目前で表彰台逃す/WEC富士

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2024年09月16日 11:50  AUTOSPORT web

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3日間で合計6万5800人が来場した2024年のWEC富士。地元で今季3勝目、富士での通算10勝目を狙ったトヨタ勢は10位とリタイアに終わった
 9月15日、WEC世界耐久選手権第7戦の決勝レースがトヨタの“ホーム”である富士スピードウェイで行われた。過去「10戦9勝」を誇り同地での通算10勝目を目指して母国ラウンドに臨んだTOYOTA GAZOO Racing(TGR)は、アクシデントが多発する6時間のレースで7号車、8号車の両トヨタGR010ハイブリッドが上位争いを展開。しかし、セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮組の8号車は、表彰台を目前にしてドライバースルー・ペナルティを受け総合10位でのフィニッシュに。

 また、マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ニック・デ・フリース組の姉妹車7号車トヨタは接触でダメージを負い、痛恨のリタイアに終わった。この結果、最終戦バーレーンでの小林とデ・フリースの逆転チャンピオンは厳しいものとなっている。

 全8戦で競われている今季2024年シーズンのWEC。終盤第7戦の舞台は、日本の富士スピードウェイだ。晴天に恵まれた『富士6時間耐久レース』の決勝は定刻11時に開始された。このスタートでTGRの2台はブエミ駆る8号車が2番手から4番手に、姉妹車の7号車を駆るコンウェイも4番手から5番手へと順位を落としてしまう。

 その後、7号車と8号車が順位を入れ替えるも、7号車はタイヤの摩耗に苦しみ予定よりも早めにピットインし、デ・フリースへとドライバーチェンジ。まもなく8号車もピットインし、ハートレーへとバトンを繋いでいく。

 レースの前半で苦戦を強いられたトヨタ勢だったが、折り返しを過ぎる頃にはチームの給油とタイヤ戦略が功を奏し始める。デ・フリースが乗り込んだ7号車は15号車BMW MハイブリッドV8と50号車フェラーリ499Pをコース上で攻略。さらにピットで6号車ポルシェ963をかわしてトップに立った。また、僚友の8号車も着実に順位を上げていき、ハートレーが2台のフェラーリをパスし、平川へと表彰台争いを託す展開に持っていった。

 7号車ではデ・フリースから可夢偉に交代した4時間目、TGRの2台は攻めの戦略でタイヤ、燃料ともにライバルよりも有利な状況で終盤戦へ入っていく。しかし、ここでバーチャルセーフティカー(VSC)が導入されたことで、ほかのすべてのハイパーカーがピットインするチャンスを得ることとなり、トヨタの思惑が外れる。

 続いて出されたセーフティカー(SC)で各車のギャップはリセットされ、残り1時間半でスプリントレースの様相となった。8号車の平川は3番手で再スタートを切ったが35号車アルピーヌA424にかわされてしまう。また、一時はレースをリードしながら8番手まで順位を落とすこととなった可夢偉の7号車はバトルのなか、コカ・コーラ・コーナーで5号車ポルシェ963と接触。リヤサスペンションと車体に修復不可能と判断されるダメージを負い無念のリタイアとなった。

 残された8号車は、平川がハーツ・チーム・JOTAの2台をパスし、35号車アルピーヌがペナルティを受けたことで3番手に返り咲き表彰台を獲得するかに思われた。しかし平川が最後のピットアウト直後に、首位を走る6号車ポルシェ963に進路を譲らなかったことが「青旗無視」と判断されドライブスルー・ペナルティを受けることに。これにより8号車は首位から58.879秒遅れの10番手まで順位を落としてレースを終えることとなった。

 ホームの富士で2015年以来の2敗目を喫したTGR。この結果、ドライバー選手権での逆転戴冠は困難なものとなったが、マニュファクチャラー選手権ではランキング2位に下がるも首位ポルシェとの差はわずか10ポイントで、自力でのチャンピオン獲得も可能。チームはタイトル防衛に向け、11月2日(土)に行われるシーズン最終戦バーレーンへと意識を切り替える。

■「避けられませんでした」「3位表彰台なら納得のいく結果だった」/TGR WECチーム 決勝後ドライバーコメント

●小林可夢偉(チーム代表兼7号車ドライバー)

「とても難しいレースでした。2度目のセーフティカー導入が我々には運の尽きでした。再スタート後、私はポルシェ5号車とのバトルを数周にわたって繰り広げましたが、ストレートでの速度差は明らかでした。そのため、ライバルは最初の3つのコーナーでオーバーテイクを試みました。第3コーナーで私はイン側にいて、ポルシェ5号車も同時にコーナーに進入したため、接触は避けられませんでした」

「残念なことにその時、他の箇所も接触してしまい、レース中に修復するにはダメージが大きすぎました。今日は我々の日ではありませんでした。応援してくれたファンの皆さまに申し訳なく思います。最終戦のバーレーンではもっと強くなって戻って来たいと思います」

●マイク・コンウェイ(7号車ドライバー)

「2台ともに大変な一日だった。残念ながら我々の7号車は接触を喫し、修復不能なダメージを負ってしまい完走することができなかった。これによりポイントを得られなかったのはドライバーズチャンピオン争いにおいて、もちろんマニュファクチャラーズチャンピオン争いにおいても痛い結果だ」

「応援してくれたホームのファンの皆さまとすべてのパートナー、そしてトヨタ従業員の方々のためにも望んでいた結果ではなく、本当に悔しいレースとなってしまった。しかしまだシーズンは終わっていないし、最終戦は長い戦いで獲得ポイントも大きいので、全力で挑んで雪辱を果たしたいと思う」

●ニック・デ・フリース(7号車ドライバー)

「チーム全員にとって受け入れがたい結果となってしまった。レースウイークを通して苦戦を強いられた。我々のレースペースは上位を争うには充分でないなかで、ドライバーズとマニュファクチャラーズの両選手権のためにも、可能な限りのポイントを獲得することを目指すだけだった」

「我々の戦略はとても良かったと思うが、不運なレース状況で、狙ったとおりにはいかなかった。本当に残念だ」

●セバスチャン・ブエミ(8号車ドライバー)

「我々にとってはちょっとした災難のようなレースだった。ライバルよりも速さでは劣るなかで、まずまずのスタートを切ることができた。他の車両は我々よりも加速が良く、TGRコーナー(1コーナー)への進入でポジションを上げるのは不可能だった」

「そこから順位を上げていくことはできたが、不運なタイミングでセーフティカーが導入されてしまった。最後のドライブスルーペナルティがなければ表彰台フィニッシュができていたはずで、それなら納得のいく結果だったと思う。すべてを洗い直し、バーレーンでは力強くなって戻って来るよ」

●ブレンドン・ハートレー(8号車ドライバー)

「我々はかなりクリーンなレースを戦った。セブ(セバスチャン・ブエミ)はタイヤを大事に持たせて走るという素晴らしい働きで、我々は戦略で順位を上げるチャンスを得ることができた。ペースではライバルに及ばなかったが、ベストを尽くした。全力で戦ってくれたチームに本当に感謝している」

「我々にとって重要なレースだったが、さまざまな要因で残念な結果に終わってしまった。しかし気を落とすことなく、マニュファクチャラーズ選手権を決める次戦バーレーンでの巻き返しを図るよ。今週我々をサポートしてくれたトヨタ関係者、パートナー、そしてファンの皆さま全員に心から感謝したい」

●平川亮(8号車ドライバー)

「本当に残念な一日だったのは確かです。ファンの皆さまやパートナーの皆さまの前で良いレースをしたかったのですが、そうはなりませんでした。あらゆることを試し、一時は期待の持てる展開となりましたが、最後は望みどおりにはいきませんでした」

「シーズンは残り1戦となりましたが、なんとしてもチャンピオンを獲得し、良いかたちでシーズンを締め括れるよう頑張ります。今週ずっとハードワークで支えてくれたチームのみんなに感謝します。また、パートナーの皆さま、ファンの皆さま、応援ありがとうございました」

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