首都圏のとある繁殖場に、人間の道具として酷使された小型犬が複数いました。1匹は真っ白の毛並みとキツネ顔の端正なお顔がまぶしいメスのポメラニアンでした。後に付けられた名前は「夕月ちゃん」。
推定11歳ほど。10年以上も動物としてのごく当たり前の喜びを知ることなく、小さな体で繰り返し繁殖させられてきたのでした。
その体にはいくつもの持病が…
保護団体、アイドッグ・レスキュー隊ではこの繁殖場から夕月ちゃんをはじめ、複数の子犬を救い出しました。
すぐに動物病院に連れていき検査してもらいました。すると、心雑音があり副腎臓が腫瘍化していることが判明。また、長年狭いケージの中で過ごしていたせいか、両脚とも関節が緩く、同じ月齢のポメラニアンに比べても、健康状態はかなり悪いものでした。
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ここで救い出せたことは不幸中の幸いとしても、繁殖の悲しい現実をここでもまた強く感じさせられました。団体関係者と預かりボランティアさんは、これからの夕月ちゃんの幸せに期待し、適切な手術と医療ケアを実施。夕月ちゃんのペースを最優先に、少し笑顔を取り戻してくれるよう献身的に世話を続けていくことにしました。
保護から約2カ月ほどで積極的にコミュニケーションを取るようになった
預かりボランティアさんの家に来てからの夕月ちゃんは当初、サークルの中に引きこもったままでした。
新しい環境に馴れず、怯えているように見えましたが、どうもそうではない様子。以前の環境で長きにわたって引きこもって過ごしていたため、この家でも同じように過ごしているようでした。預かりボランティアさんは夕月ちゃんに努めて声をかけ、できるだけ自由に過ごして良いことを繰り返し伝えました。
すると、保護から約2カ月後、変化が現れました。自らサークルから出てきて、他のワンコとも仲良く触れ合えるようになったのです。
食事の時間ではうれしそうに尻尾フリフリで大喜び。元気で明るくなりました。
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「甘々にかわいがり、ずっと楽しく過ごしていきたい」
日に日に元気を取り戻す夕月ちゃん。保護から約10カ月が経過した頃、「うちの家族になってほしい」という里親希望者さんが現れました。
とても優しい里親希望者さんで、夕月ちゃんの過去や持病を理解し「全てを迎え入れたい」ときっぱり。後に、この方が夕月ちゃんの家族となりました。
迎え入れた里親さんは後にこんな言葉を残してくれました。
「かわいいゆずちゃんがいてくれるだけで、毎日幸せです!これからは夕月ちゃんに『うちに来て良かった』と思ってもらえるよう、さらに大切に、甘々にかわいがりずっと楽しく過ごしていきたいと思います」
これまで辛い思いをしてきた分、夕月ちゃんのこれからが幸せたっぷりの甘々な日々になってくれると良いですね。
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(まいどなニュース特約・松田 義人)