60代に入り、人生の後半をどのように過ごせばいいのかは悩みどころ。若い頃のようには働けないし、しかし隠居生活ができる余裕がある人ばかりでもないし、できたところで充実感を持てるかどうかはまた別の問題だからである。
しかし、ある種の「ゆるさ」はこの年代の人生に必要だ。仕事の人間関係や社会のしがらみから離れたこの時期に、楽しく自分らしく、充実して過ごすために「ゆるく生きる」ことを心がけてはどうだろう。
『ゆるく生きれば楽になる 60歳からのテキトー生活』(和田秀樹著、河出書房新社刊)では、精神科医の著者が、60歳以降の第2の人生を思いきり楽しみ、元気に豊かに最高の老後を送るための心と身体の生活習慣を紹介している。
■できなくなることが増える…そんな自分を受け入れよう
若い頃は何かしようとするとき、楽な方法と難しい方法があったら、「厳しい道を進んだほうが学びは多い」などと考えて、茨の道を進む人も少なくない。
だが、60代を過ぎてくると、楽な道を選ぶのが正解になることもある。年齢とともに体力も落ち、集中力もなくなってくる。そんな状態で今まで通りやっていると、時間はかかり、成果のクオリティも下がるだろう。そして、うまくいかないことにイライラしてストレスが増大してしまう。
楽な道を選ぶことは決して悪いことではなく、怠惰な選択というわけではないと著者は述べる。物事を効率よく進めるために有効な手段であり、まずは「楽な道は手抜きで悪いこと」という思い込みを捨てることが重要だ。
また、年齢を重ねるにつれて、少し前まで楽にできていたことが難しくなったり、体の衰えを感じられることが増えてくる。そうしたときに考えるべきことには、大きく2つの方向があるという。
一つは、その状態でできることを探して伸ばす、活かすこと。
もう一つは、できなくなったことについて、どこまで改善が可能かどうかを検討することだ。
大切なことは、できなくなった自分を受け入れられるかという気持ちの問題だ。頭ではわかっている。でも、まだ自分は違う。そう考えてしまうものだが、そこで無理をしても苦しくなってしまう。だから、年をとった自分の現実を見つめ、「今できることを無理なく楽しもう」と柔軟に考えることができれば、世界は広がるはずだ。
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これまで自分に厳しく、真面目に生きてきた人ほど、「テキトー」「手抜き」というと、怠惰なイメージを抱くかもしれないが、本書を読むと、ゆるく生きるのもいいかもしれないと思うかもしれない。
今よりちょっとゆるくやればいい、と気楽に考えれば、毎日が楽しく、充実したものになるはずだ。
(T・N/新刊JP編集部)