WRC世界ラリー選手権のランキングリーダーであるヒョンデ・シェル・モービスWRTのティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)は、自身初のドライバーズタイトル獲得に向けて、これほど有利な状況はないと考えている。
全13戦で争われる2024年シーズンも最終戦ラリージャパンを含め残り3戦となったが、ベルギーのスタードライバーは、同じヒョンデのチームメイトでランキング2位につけるオット・タナク(ヒョンデi20 Nラリー1)を34ポイントリードしている。
この優位性は、9月5〜8日に行われた今季第10戦『アクロポリス・ラリー・ギリシャ』でのパフォーマンスによってさらに強化された。ヌービルは、タナクと僚友のダニ・ソルド(ヒョンデi20 Nラリー1)を従え、ヒョンデ勢による表彰台独占という完勝を果たした。
ヌービルとタイトルを争うトヨタのセバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、同ラリーの最終日に総合2番手につけていたが、ウルフ・パワーステージでマシンを転倒させてしまい最後の最後で表彰台を失ってしまう。これにより8冠王者であるオジエは大会前までヌービルに27ポイント差まで迫っていたが、現在は38ポイントにまでギャップを拡げられている。
これまで5回のランキング2位、うち4回はオジエに次ぐ成績を経験しているヌービルにとって、自身初めてとなるワールドチャンピオンのタイトルは手の届くところにある。アクロポリスでの勝利後、ヌービルはWRC.comの取材に対して次のように語った。
「これ以上いいポジションにいることはない。これまでシーズン終盤までチャンピオン争いに加わっていたけど、これほど大きなリードを築きながらここまで来たことはなかった」と36歳のヌービル。
「ここからはマネジメントがすべてだ。自分たちの目標を持って、毎大会やってきたように自分たちの仕事に集中し、確実にチャンピオンシップを持ち帰るようにしなければならない」
ヌービルは今季2024年の成功について、ヒョンデの継続的な改善のおかげだと考えおり、韓国メーカーとアルツェナウのチームが彼とコドライバーのマルティン・ウィダグに最強のマシンを提供していると信じている。
「例年は必ずしもそうではなかったが、我々はすべてのイベントで速いマシンを持っている」とチャンピオン候補彼は明かした。
「リスクを減らしても、他の選手やトップ選手についていけるからね。それは確かに大きな助けになっている」
「新しいエンジニアもいるし、技術部門も再編成された。そして新しいチームプリンシパルを迎えた。僕たちは新しい仕事の方法論を持っているので、良いクルマを手に入れることができる。良いクルマがあれば、すべてが少し楽になるんだ」
ヌービルのWRC初載冠への挑戦は、9月26〜29日にチリのビオ・ビオ地方で開催される今季第11戦『ラリー・チリ・ビオビオ』でも続くことになる。