真田広之さん(63)主演の「SHOGUN 将軍」がエミー賞のドラマシリーズ作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞の主要4部門を制した。「時代劇を継承してきた全ての方々から受け継いだ情熱と夢は海を渡り、国境を超えた」。プロデューサーも務めた真田さんの日本語でのスピーチには、約20年に及ぶ米国での奮闘が報われた喜びが宿っていた。
真田さんは2003年の米映画「ラストサムライ」への出演などをきっかけに、40代半ばで活動拠点を米国に移した。その理由について、13年のインタビューでは「異なる文化や人種が集まり、お互いが学び合って今までにないものを作る。この面白さを知った以上、飛び込むしかなかった」と熱く語っている。
その後も多数のハリウッド映画やドラマへの出演を重ね、着実に現地での存在感を高めていった。それでも言語や文化の壁はやはり高かったようで、15年のインタビューの際には「やればやるほど難しさが深まっていく」と、悩みものぞかせた。
そんな苦労を背負っても孤独な挑戦を続けてきたのは、「海外に出て、必死に学んだことを持ち帰って底上げしていくことでしか、日本映画を本当に守ることはできない」と信じているからだ。自分を育ててくれた日本の時代劇が「国境を超えた」という言葉には万感の思いが込められている。