日本企業の女性管理職の割合が平均10.9%と、2013年の調査開始以降で初めて10%を超えた。帝国データバンクが8月に発表した意識調査(1万1282社が回答)では、遅々とした歩みながら女性登用が進んでいることが示された。ただ、20年代の可能な限り早期に女性管理職30%を目指すという政府目標とは依然開きがあり、現状でおおむね30%以上の欧米諸国との差は大きい。
女性管理職比率「30%」は、「クリティカル・マス」と呼ばれる比率で、組織に質的な変化を起こす目安とされる。帝国データの調査は7月18〜31日に実施。課長相当職以上を指す管理職に占める女性の割合は徐々に増えているものの、全員男性という企業もなお43%に上った。
各社が取り組む女性活躍推進策について複数回答で尋ねたところ、「性別にかかわらず成果で評価」といった男女平等に関する項目や、「女性の育児・介護休業の取り組み促進」など働きやすい職場環境づくりが上位に並んだ。
一方、女性管理職割合が上昇しない要因については「家庭と仕事の両立がしにくい」「日本社会の性別役割分担意識の存在」「女性従業員が昇進を望まない」などが上位を占めた。
これらの要因は相互に関連しており、さまざまな調査で女性が昇進を望まない理由として、「管理職になると家庭と仕事の両立がしにくくなる」ことを挙げる例も多くみられる。企業側が育成や処遇で昇進に対する女性の期待値や可能性の芽を摘んでいるとの指摘もある。
帝国データバンクは「人手不足の深刻化で、女性の潜在的な労働力を掘り起こし、女性活躍推進をする重要性が高まっている」と指摘。その上で、「企業は女性活躍の支援に取り組むことが重要で、政府には性別を問わない育児分担など女性が安心して社会進出できる環境づくりが求められる」としている。