プロ野球選手の契約交渉を巡り、選手が自由に代理人を選べないのは独禁法違反の恐れがあるとして、公正取引委員会は19日、日本野球機構(NPB)の内部組織「日本プロフェッショナル野球組織」(東京)に警告した。
公取委によると、プロ野球組織はセ、パ両リーグの12球団に対し、所属選手の契約更改などの交渉時、代理人を弁護士に限り、他選手との兼任を認めていない。2000年11月にこの方針を決定し、各球団と選手に通告した。
公取委は今年8月に審査を開始。独禁法で禁じる事業者団体による不当な活動制限に当たると判断した。プロ野球組織は9月2日、こうした行為をやめることを決めたという。
プロ野球を巡っては、公取委が2020年、ドラフト指名を拒否して海外でプレーした選手との契約を一定期間認めない「田沢ルール」と呼ばれる申し合わせについて審査。撤廃報告を受けて、違反認定せずに終了した経緯がある。
プロ野球組織はNPB理事会の下に設置され、公式試合の運営などに関する事項を審議し、事業を遂行。コミッショナーは原則、NPB会長が務める。
公取委の岩渕権・第4審査上席審査専門官は記者会見で「弁護士に限るという部分を改善することにより、マネジメント的な活動をしている者が新規に参入できる可能性がある」との認識を示した。
警告を受け、プロ野球組織側は「引き続き関係法令を順守しつつ、適正・適切に選手との契約交渉に臨む所存です」などとコメントした。