岸田文雄首相は21日から4日間の日程で米国を訪問する。在任中最後の外遊となる。東部デラウェア州ウィルミントンで日米豪印4カ国の枠組み「クアッド」の首脳会議に臨み、覇権主義的な動きを強める中国を念頭に緊密な連携を確認。国連総会開催中のニューヨークを訪れ、ライフワークである核軍縮などの重要性を訴える意向だ。
首相は10月1日に退陣する見通し。退任間際の首相の外国訪問は異例だ。首相は今回の訪米を含め、外交成果を次期政権に引き継ぎたい考えだ。
クアッドの首脳会議は21日に予定されており、開催は2023年5月の広島以来。ウィルミントンにはバイデン大統領の私邸があり、大統領としては異例の地元開催を通じて4カ国の協力をアピールする狙いがあるとみられる。
会合では「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた連携を確認し、具体的な協力内容を盛り込んだ共同声明をまとめる見込みだ。首相は米豪印3カ国首脳との個別会談も調整している。
首相はこの後、ニューヨークに移動。国連本部で22日から開かれる「未来サミット」に出席し、核軍縮や「法の支配」の重要性を訴える。23日には核兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)締結を目指す友好国とのハイレベル会合を主催し、交渉開始に向けて前進を目指す。
国連総会の一般討論演説は24日から。首相は27日投開票の自民党総裁選に間に合うよう帰国するため、演説を見送る。