今回は、富山労働局職業安定部の山下課長補佐と南部高齢者対策担当官に「生涯現役支援窓口」で行われている支援内容、新たに就職先を得るためのポイントを伺いました。
「生涯現役支援窓口」の対象者と具体的な支援は何?
――「生涯現役支援窓口」とはどんな窓口ですか?山下課長補佐:生涯現役支援窓口は、再就職などを目指す、概ね60歳以上の方を対象にした就職相談窓口です。特に65歳以上の方を重点的に支援しています。全国300カ所のハローワークに生涯現役窓口が設置してあります。
――「生涯現役支援窓口」では、具体的にどんな支援を行っているのでしょうか?
山下課長補佐:生涯現役支援窓口では、シニア世代の採用を積極的に行う企業情報の提供や、高齢者世代向け限定求人の「個別ミニ面接会(参加企業2〜3社)」、求職者の多様な希望に合わせた情報提供をしています。
たとえば、一人暮らしの高齢者の方は、時間があるので長く勤めたいと考える方が多いように思います。一方、家族と暮らす高齢者の方は、孫の世話の合間、家族を介護する息抜きのつもりで、少しだけ働きたいという希望を持つ方が多くあります。就業時間だけでも、個々の希望はさまざまあります。
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――高齢者の方々が就職相談などを受ける場合、「生涯現役支援窓口」に行った方がよいですが、中には「自宅から遠く、気軽に行けない……」という方もいるかもしれません。その場合はどうすればよいでしょうか。
山下課長補佐:「生涯現役支援窓口」は、比較的規模の大きなハローワークに設置されているため、お住まいの場所によっては出向けない場合があるかもしれません。その際は、最寄りのハローワークでも同様のご相談を受けることができます。
働きたいと思った方は迷わずハローワークの就職相談窓口に来てください。その際、必ず持ってきてほしいものはありません。手ぶらで来ていただいても対応できます。
高齢者が長く元気に働くために必要なことは「希望(条件など)を伝えること」
――高齢者の方々が、65歳から働くとき「自分の都合を伝えたら雇用機会が限られる?」と思う方がいるかもしれません。ハローワークにある「生涯現役支援窓口」または最寄りハローワークで職業相談を受けるとき、求職者の希望(条件など)を伝えるときのポイントはありますか?南部高齢者対策担当官:高齢者の方の中には「高齢者になるとなかなか雇ってもらえない……」と考えている方がいるようです。しかし最近は、高齢者を頼もしい働き手として積極的に雇いたいという企業も増えてきていることもあり、「勝手にダメだろう」と決めつけるのはもったいないことです。
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65歳以上になると、健康状態、空いている時間、働くことへの意欲はさまざまあるのが普通で、そのことは高齢者を採用する会社側もよく理解しています。無理に会社の都合に合わせた働き方を強要する気はなく、高齢者の今までの経験やスキルを活かせる方法を柔軟に検討する企業が増えているように思います。まずは、高齢者ご自身が就業に対する要望を言ってくれる方が、それに合わせた仕事をご紹介できる場合があります。
――高齢者の方が、就業に対する要望を言うことがなぜ職業紹介につながるのでしょうか?
南部高齢者対策担当官:ハローワークには、さまざまなニーズにあわせて、正社員、パートなどの雇用形態の求人が集まります。求人は、出してスグに決まるものもあれば、なかなか決まらないものもあります。そこで、企業側の求人を受け付ける「求人部門」と求職者に就職先を紹介する「職業相談部門」がそれぞれの要望をすり合わせマッチングに繋げるよう工夫します。
たとえば、フルタイムの求人を出していても希望者がいないということはあります。その際、フルタイムで行う作業を分解して、短時間でできる作業を抜き出すことで、パートを望む求職者の仕事を作ることができます。
このような工夫は、高齢の求職者がハローワークの相談窓口で要望を言ってくれてはじめて形になり企業側に提案することができます。実際、ハローワークでは、高齢者の方々が生き生きと働くためのさまざまなアシストをしています。
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取材を終えてのまとめ
ハローワークには高齢者世代の再就職に向けて「生涯現役支援窓口」が設置されています。相談は無料です。働けるうちは働きたいと考える方は、ぜひ「生涯現役支援窓口」または最寄りハローワークに一度足を運んでみましょう。その際、「自分自身が無理せず長く働くにはどんな条件の就業先が良いのか?」を職業相談で伝えるようにしましょう。
文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)
3匹の保護猫と暮らすファイナンシャルプランナー。会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方、心豊かに暮らすための情報を発信しています。
(文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー))