スマホで手軽にバイノーラル録音! ウイスマーの「W-BM1」で身近な音を収録してみた

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2024年09月22日 13:11  ITmedia NEWS

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今回、紹介するWHISMR(ウイスマー)の「W-BM1」。人の頭の幅と同じぐらいの横幅で、両側面に耳の形をしたマイクが付いている

 YouTubeをはじめとする動画、ショート動画などがすっかり氾濫している今日この頃ですが、動画において実は音声こそ大事というのは、動画を作ったことがある人には常識ともいえることです。


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 ただ、高音質だけを目指しても、意外と差別化できないのもまた現実です。そんな背景があるので、動画なのに音声に特化したASMR系動画が流行ったのは、なるほどと思うところです。


 ASMR系動画でも使われることが多いのが、わりと大昔から使われてきた録音手法であるバイノーラル録音です。バイノーラル録音を簡単に説明すると、人の耳の位置で録音すること。特にヘッドフォンで視聴すると、微細な音や立体的な音が再現されます。


 ということは、バイノーラル録音を厳密にやろうとすれば、人の頭と同じサイズのダミーヘッドが必要です。バイノーラル録音用マイクとなると、非常に高価なものが多く、スマートフォンで使うとなると、さらに大変でした。


 イヤフォンの形をしたマイクで、実際に人が耳につけることでバイノーラル録音できるものもあるのですが、そうすると当たり前ですが、自分か他人の頭を録音したいものに近づけたりしないといけないわけです。これはこれで、また別の面倒さがあります。


 つまり、昔からその効果は高いことは知られているものの、実際にやろうとするとそれほど簡単ではない録音手法がバイノーラル録音なのです。


 前置きが長くなりましたが、そんな簡単とはいえないバイノーラル録音を、スマホでもできるようにして、価格もぐっと下げてきたのが、今回試すことができたWHISMR(ウイスマー)の「W-BM1」です。


 ウイスマーは、ケンウッド(現在のJVCケンウッド)やソニーでサラウンドヘッドフォンなどの開発に携わってきた技術者・山田裕司さんが設立した日本の立体音響機器ブランド。現在、クラウドファンディングサイトの「GREEN FUNDING」でプロジェクトを公開しています。


 スマホだけで使えるということは、音をアナログからデジタルに変換する処理も内部で実行しているということ。録音アプリ次第ですが、96kHz/24bitまで対応できます。


 一見、マイクとは思えないような見た目ですが、バイノーラル録音ということで考えれば、実に理にかなった形です。要するに人の頭の幅と同じぐらいの横幅で、その側面にはきっちり耳の形をしたマイクが付いているのです。


 本体の裏にあるのは、左から外部マイク端子、ヘッドフォン端子、バイノーラルフィルタ(のオンとオフ)です。耳慣れないのがバイノーラルフィルタですが、これはライブ配信などでスピーカー再生を想定する場合に「配信モード」を選びます。


 また、オプション品として用意されている「モバイルスターターキット」がとてもよくできていて、W-BM1を買うなら黙ってこのモバイルスターターキットも買っておけという出来栄えです。モバイルスターターキットは、ミニ三脚、スマホホルダー、アーム、30cmの長さのUSB Type-Cケーブルがセットなっており、まさにこれがあれば即スマホで録画・録音を始めることができます。


モバイルスターターキットにスマホを装着するとこんな感じになります。W-BM1は上下に三脚穴があるので、それを使って装着しています。


 実際に使ってみましたが、非常に使い勝手が良いです。この内容を自前で揃えようとすると、確実にこのモバイルスターターキットよりも値段も高くなり、使い勝手も悪化すると想像できるので、もう1回言いますが、W-BM1を使うなら、このモバイルスターターキットは必須アイテムです。W-BM1本体の重さは260gですから、このぐらいの装備で十分安定するのです。


 ということで、実際にスマホにW-BM1をつないでモバイルスターターキットを使って収録したものを紹介したいと思います。なお、いずれもヘッドフォンでの視聴推奨です。


 使用したアプリは「OpenCamera」。このアプリでは、ビデオ設定で、オーディオソースを外部マイクに指定でき、またオーディオチャンネルをステレオに指定できます。


●カバンのファスナーを開け閉めする音


 マイクの位置は、以下の写真で分かるようにカバンから15cmの位置です。つまり、カバンの近くで耳をすましているような音に仕上がっています。いわゆるASMRな感じですね。


●キーボードの音


 ASMRの定番ともいえるキーボードの音を収録してみました。このキーボード自体、大きい音が鳴るモデルではないのですが、キータッチのところも十分に収録できています。キーの種類の違いによる音の違いもはっきり分かります。


●外で葉っぱを触ってみた音


 屋内だけではテストとして不十分ですから、外で木の葉っぱに触れてみました。こういう音も収録できると例えばキャンプ動画などで使えるのではないかと思って収録してみました。また途中、風に吹かれたのですが、それほど不快な感じになっていないのもバイノーラルのおかげでしょうか。


●歩道橋の上からの道路の音


 最後は歩道橋の上での収録です。運の良いことにいろんな種類の車が通ってくれたので、音の違いがよく分かるかと思います。音の方が先に聞こえてくるので、車が通過すると、この車の音か! となるのが気に入っています。


 以上、屋内で2パターン、屋外で2パターンの収録でした。いずれも失敗なしで一発で録ることができました。あまりにも普通に使うことができたことに、正直拍子抜けしたぐらいです。


 また、今回はバイノーラル録音の手軽さをお見せするために、W-BM1をスマホで使いましたが、もちろんW-BM1はPCで使うこともできます。一応追記しておくと、マイクの接続はUSB Type-Cですが、アダプターを使うことでLighting端子時代のiPhoneでも使うことができるそうです。


 私にはそういう趣味がないので、今回試すことはできませんでしたが、例えばたき火の音なんて、実にいい感じに収録できるのではないかと思います。もちろん、ASMR系の収録もできます。また、微細な音を拾ってくれるので、声を張るのが苦手な人にとっても使い勝手の良いマイクになっていると思います。


 マイクで動画の音に差を付けたい場合、そこそこお金のかかる投資が必要なのも現実ですから、その意味でもW-BM1の価格はおすすめできるレンジとなっています。音の可能性は、実に広いですから、どこかにうまくはまる場面はあるでしょう。せっかくの動画、音でも特徴を出したい場合、W-BM1は十分に試す価値があるマイクといえます。



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