【陸上】田中希実、パリ五輪は「幸せの一言に尽きる」トラック＆マラソン両立の将来像にも言及

陸上女子中長距離でオリンピック（五輪）2大会連続2種目出場の田中希実（25＝ニューバランス）が25日、都内でシーズン報告会に出席し、トラック種目とマラソンとの両立を理想型に掲げた。

今季は1500メートルで自身の日本記録（3分59秒19）に0秒50と迫ると、5000メートルでも14分50秒切りを4度達成。パリ五輪では1500メートルで準決勝敗退、5000メートルで予選敗退となったが「幸せだったという一言に尽きる。結果は関係なく、五輪という大舞台にチームとして向かっていたことに幸せを感じた。どんな結果であれ、自分自身がそれを受け入れられる努力をしたことが幸せだった。その努力が報われるとは言えない結果だったが、五輪に出なければ味わえかった」と充実感をにじませた。

ただ、過程にはうなずいたが、今季の順位や結果には満足せず。「自分に足りないところがある」とし「世界のトップを目指したいと思い始めた」と心境の変化を口にした。

目標とする存在として名前を挙げたのが、パリ五輪マラソン金メダル、1万メートル、5000メートル銅メダルのシファン・ハッサン（オランダ）と、同1500メートル金メダル、5000メートル銀メダルのフェイス・キピエゴン（ケニア）。「ハッサン選手、キピエゴン選手はトップオブトップの雰囲気があって、いろいろな選手に影響を与えている。その一員になりたい思いがすごく強くなった」と言葉に力を込める。

とりわけ3種目でメダルをつかんだハッサンの姿は、自身の将来像とも重なる面がある。「例えばハッサンであれば、マラソン練習の中でも5000メートルで15分は切るし、14分半でもいつでも走れる。（ハッサンのように）いつでも世界と戦えるスピードを身に着ければ、マラソンのレースに出てから急に5000メートルへ戻った時でも、スピードを復活させただけで戦える域になる」。トラック種目とマラソンを両立する可能性に言及した上で「実際にやらなかったとしても、できるだけの地力はつけた上でマラソンをやりたい。ああいうチャレンジができる力はつけたい」と思いを明かした。

来年9月には世界選手権東京大会、28年にはロサンゼルス五輪が控える。「たくさんの方を驚かせたい。期待していない方が驚きも大きいと思うので、期待せずにぼんやり見ていてもらえたらうれしい」と控えめにほほ笑みながら飛躍を見据えた。【藤塚大輔】