中田英寿氏「新たな挑戦は非常に楽しみ」SSU執行役員に選任され株主総会サプライズあいさつ

サッカー元日本代表MF中田英寿氏（47）が、現役時代からマネジメント契約を結ぶPR会社大手サニーサイドアップグループの執行役員エグゼクティブオフィサーに選任された。同社が25日に公式サイトで発表した。就任は10月1日付。同氏は、25日の取締役会での選任を受けて、同社の株主総会にサプライズで登場し、あいさつした。その中で「新たなチャレンジができるというのは非常に楽しみ」と期待感を口にした。

中田氏は、サイドアップグループが発表した「執行役員の専任にあたって」と題した次原悦子社長名の文書の中で「マネジメント事務所という立場で、長きに渡り信頼関係を構築してまいりました」と説明したことを受けて発言。「中田です。このたび、25年以上にわたって次原と、またサニーサイドアップと知り合って、いろんな経験をしてきました。僕らが歩んできた道というのは平坦（へいたん）な道ではなくて、プロに入った時にはマネジメントだったり、またエージェントという、今でこそ当たり前であるものがなかった時代で、いろんなものを作ってきました」と語った。

中田氏は、インターネットが普及しきっていない1998年（平10）に、自身の公式ウェブサイト「nakata，net」を立ち上げ、アスリート自らが情報を発信する個人メディアを持つ先駆けとなった。当時を振り返り「スポーツ選手個人が発信するブログのようなものも、今でこそ当たり前になっていますが、メディアは誰も文句は言いません。僕らの時代は、やはりほとんどの情報をメディアが出していたので、大きな軋轢（あつれき）があったり、いろんな問題がある時代でした」と語った。その上で「だけど、そういった経験をしてきたからこそ今があるんじゃない思いますし、僕たちがやってきたことっていうのは、昔なかったものを、そういったことも含めて、自分とサニーサイドアップの経験というのは新しいものを作り出す。そういったチャレンジをする関係性ではないかと思います」と、サニーサイドアップグループとともに世の中に新しいものや価値観を創出し、それが日本のその後の常識まで作り上げてきたことを示唆した。

中田氏は、ワールドカップ（W杯）ドイツ大会後の2006年（平18）7月3日に現役を引退後、世界約90カ国、150以上の都市を旅した。09年からは、日本全国47都道府県をめぐる旅をスタートし、400を超える酒蔵を訪れてきた中で、日本酒のおいしさと文化的可能性を強く感じたことから、15年に日本酒の販売促進事業を行うJAPAN CRAFT SAKE COMPANYを設立し、代表取締役に就任。日本酒開発やイベントコンサルティング、日本酒アプリ「Sakenomy」、日本酒のトレーサビリティーシステム「Sake Blockchain」を開発した。

さらに、翌16年からは世界最大級の日本酒PRイベント「CRAFT SAKE WEEK」を展開。日本酒以外にも日本文化を国内外に紹介するため、旅の軌跡を紹介するウェブメディア「に・ほ・ん・も・の」や、厳選した作り手を紹介し多言語で出版される書籍「に・ほ・ん・も・の」（KADOKAWA）など、多くのメディアで情報を発信している。

そうした歩みを踏まえ「サッカーを辞めて、今、自分も全国を回ったり、自分の会社でやってますけれども、またサニーサイドアップとともに新たなチャレンジができるというのは非常に楽しみでもあります」と、今回の執行役員就任への期待を口にした。そして「自分の会社だけじゃできない、さまざまなこともあると思います。一方では自分が培ってきた国内、海外の経験というのは、いろんな意味で寄与できるのではと思いましたので、今回一緒にやりましょうということで、参加することになりました」と経緯を自ら説明した。

次原社長は、自身のXで「弊社株主総会に新任執行役員ヒデがサプライズ登場。上場前から彼は弊社の大株主」と中田氏の立ち位置を説明。その上で「ここからは企業価値向上の為に、しっかりとタッグを組んでいきます。フィールドにいるのに彼の視点はスタジアムの上と評されたプレイスタイル。どうか私にはない視点で会社を見て、たくさんのイノベーションを起こしてね。乞うご期待」とつづった。

◆中田英寿（なかた・ひでとし）1977年（昭52）1月22日、山梨県甲府市生まれ。同県立韮崎高から95年にJリーグのベルマーレ平塚（現J1湘南ベルマーレ）に加入。98年にセリエA（イタリア）ペルージャに移籍し、ローマ、パルマ、ボローニャ、フィオレンティーナ、そしてプレミアリーグ（イングランド）ボルトンと渡り歩く。98年フランス、02年日韓、06年ドイツとW杯3大会に出場。国際Aマッチ77試合出場11得点。オリンピックにも96年アトランタ、00年シドニーの2大会に出場。