「Pixel Buds Pro 2」「AirPods Pro 2」徹底比較 ノイキャン性能、音質、使い勝手はどう違う?

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2024年09月26日 11:41  ITmedia Mobile

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左が「Google Pixel Buds Pro 2」、右が「AirPods Pro 2」

 Googleは完全ワイヤレスイヤフォン「Google Pixel Buds Pro 2」を9月26日に発売する。先代から装着時の快適性を高めた他、アクティブノイズキャンセリング(ANC)性能や通話音質の強化など、Google製品としてさらにブラッシュアップした。Google ストアでの価格は3万6800円(税込み、以下同)となっている。


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 Pixel Buds Pro 2に近い性能や機能を持ち、価格帯も4万円を切るAppleの「AirPods Pro 2」が手元にあるので、両モデルで音質や使い勝手はどう違うのか、4万円近い価格に値する製品なのかをテーマに比較したい。


●Pixel Buds Pro 2は耳にフィットしたが、ノイキャン性能はもう少し欲しい


 まずは装着感について見ていこう。結論からいえば、筆者の耳にフィットしやすいのは、Pixel Buds Pro 2だった。完全に合うとまではいえなくても、4500万件の耳の形状データを元にデザインされただけあって、耳により収まりすい形とサイズ感となっている。


 Pixel Buds Pro 2は「うどん」と形容されることもあるAirPods Pro 2のような形状ではなく、豆に似たような形状だ。ただ、AirPods Pro 2にはANCと外部音取り込みモードの切り替えなどに使う感圧センサーがあり、この部分を持って耳に装着するときにはこの形状が使いやすい。


 イヤーチップのサイズはPixel Buds Pro 2もAirPods Pro 2もXS/S/M/Lの4種類あり、筆者はPixel Buds Pro 2のMサイズが最もフィットしていると感じた。一方、AirPods Pro 2は使い始めのときには耳の穴に収まるが、使っているうちに汗などで滑り落ちてしまう。どのサイズでもだ。独特の形状であることや、耳への設置面積が狭いことが要因だろう。


 耳に合うか合わないかは人それぞれなので、あくまで「筆者の耳にはPixel Buds Pro 2が合った」という点を強調しておく。とはいえ、Pixel Buds Pro 2とAirPods Pro 2のどちらも、スマートフォンで耳に合うイヤーチップを選べるようになっているのがいい。セットアップの際にサンプル音が流れるので、聞こえづらければ別のサイズに交換する流れとなる。


 イヤフォンが耳の形にフィットするかどうかは非常に重要だ。AppleのAirPodsに関する製品ページに「ぴったりと収まればノイズキャンセリングの効果も上がり、音楽のバスサウンドも重厚感が増します」とあるように、装着感に少しでも違和感を覚えるようなら、別のサイズのイヤーピースを試したい。


 では、ANCはどのような効果があるのか。この点を確認すべく、人気の多いカフェへ行った。ここはエアコンのノイズや音楽(店内BGM)、来店客の話し声が聞こえる環境となっている。


 Pixel Buds Pro 2でANCをオンにすると、座席から離れた来店客の話し声やエアコンのノイズ音は聞き取りづらくなるが、席へ注文を受けに来たスタッフの声は聞こえる。一方、AirPods Pro 2はさらに強力なANCで、Pixel Buds Pro 2よりもさらに静寂な環境に身を置くようなイメージだ。


●全体的にクリアな音質のPixel Buds Pro 2、聞こえ方はAirPods Pro 2とどう違う


 さて、肝心の音質はどうだろうか。ドラム、ギター、ボーカル、ストリングで構成されるポップスを聴いたところ、Pixel Buds Pro 2は全体的にクリアで、「Tensor A1 チップ」で「自然な音」を表現できているのを実感できた。ただ、裏を返せばあっさりとした印象も受け、楽曲によっては迫力さに欠ける。


 対するAirPods Pro 2も全体的にクリアに聞こえるが、耳へのフィット感が良好なPixel Buds Pro 2よりもさらにあっさりとしている。とはいえ、こちらも音質が悪いわけではなく、少ない楽器で構成されるような曲や軽快なリズムの曲なら聴きやすい。


 特にボーカルの他、ハイハット、トライアングルなどの金属音はPixel Buds Pro 2の方がAirPods Pro 2よりも際立つ。Pixel Buds Pro 2ではANCと音楽再生を別々に処理する仕組みで、ノイズを除去しつつもクリアなサウンドを耳に届ける。AirPods Pro 2がこもり気味とまではいわないが、中音域から高音域にかけてはPixel Buds Pro 2がよりハッキリとしており、AirPods Pro 2はそれがやや控えめといったところだ。


 Pixel Buds Pro 2とAirPods Pro 2のマイクを介して、自分の声が相手にどれくらい聞こえるのかも試した。検証はMacBook Proと両モデルをBluetoothで接続し、「Zoom」にて本誌編集長とのマンツーマンで行った。


 BGMや他人の声が聞こえるカフェで試したところ、AirPods Pro 2では自分の声がこもり気味だが、実用上は問題ないそうだ。Pixel Buds Pro 2は音割れしないものの、ノイズがのったような音質とのこと。とはいえ、AirPods Pro 2もPixel Buds Pro 2も店内のBGMや他人の声はしっかりと消されていたそうだ。


●手首でAIアシスタント「Gemini」とやりとりできるPixel Buds Pro 2 スマートウォッチとの連携は?


 使い勝手についても気になるところだ。Pixel Buds Pro 2で特筆すべきは、AIアシスタント「Gemini」との連携だ。より自然な対話ができる「Gemini ライブチャット」を利用できる。こちらは月額プラン「Gemini Advanced」(6カ月間は0円、以降月額2900円)の加入者が利用できる。「新しいアイデアについて話したり、面接の練習をしたりする」のに役立つという。


 日本では現在、英語でしか利用できないが、Google Japan Blogによると、「スマートフォンからGemini ライブチャットを立ち上げた後、スマートフォンをロックしてポケットにしまい、あとはGeminiと自由に会話するだけ」だそうなので、日本語に対応したら使ってみたい。


 Geminiに関しては将来的に「Google Pixel Watch 3」との連携も図ってほしい。というのも、スマートフォンを都度、取り出してイヤフォンを操作するのは面倒だし、せっかくのGemini対応ならば、Geminiに問いかけた回答を音声でPixel Buds Pro 2に、文字でPixel Watch 3に表示する、なんて使い方がかなうと便利だろう。


 Pixel Watch 3とPixel Buds Pro 2の組み合わせでいうと、Pixel Watch 3の「レコーダー」アプリもPixel Buds Pro 2との連携がイマイチなところ。Pixel Watch 3のマイクから拾った音声を録音したり、Google アカウントでバックアップを行ったりできるレコーダーだが、Pixel Buds Pro 2のマイクに切り替えられないのが難点だ。


 例えば、対面した際、相手に近い場所にPixel Watch 3を置き、相手の発話内容をPixel Watch 3のマイクで、自分の発話内容をPixel Buds Pro 2のマイクで拾って、聞き取りやすい音声に変換してくれる機能があるとうれしい。狭い部屋での録音ならPixel Watch 3のマイクでも十分だろうが、インタビューや会議の際に自分と相手との距離が離れている場面では、Pixel Watch 3とPixel Buds Pro 2の連携が欲しいと感じる。


 音声の処理に負荷がかかりそうだし、録音はスマートフォンの「Pixel 9」シリーズに頼れば済むといえばそうなのだが、スマートウォッチとイヤフォンの組み合わせで得られる「体験」をアップデートしてほしい。全てがスマホで完結してしまうと、スマートウォッチとイヤフォンを別途購入する意義が損なわれるからだ。これはApple製品にもいえる。


 ヘッドトラッキングも便利な機能の1つだ。AirPods Pro 2には「うなずき」「首振り」の動作を生かした機能がある。例えば、頭を上下に動かしてうなずくだけで、かかってきた電話に応答できる。拒否する場合には首を左右にふれば済む。音声アシスタント「Siri」とのやりとりにも、このヘッドトラッキングを利用できる。これはPixel Buds Pro 2にもほしい機能だ。


 なお、ヘッドトラッキングを利用した空間オーディオはどちらも対応している。空間オーディオはまるでその場にいるかのようなサウンドの体験を指すが、対応コンテンツやプラットフォームが限られていることに留意したい。AirPods Pro 2なら「Apple Music」「Apple TV」、Pixel Buds Pro 2なら「HBO Max」「Netflix プレミアムプラン」などのストリーミング サービスで試せるという。


 Pixel Buds Pro 2はマルチポイント接続にも対応する。例えば、プライベート用のPixel 9 Pro Foldで動画を視聴している最中に、会社支給のiPhoneに着信があった場合、音声の出力先をPixel 9 Pro FoldからiPhoneに自動で切り替わるため、着信時にはユーザーによるペアリングの解除や切り替えなどの操作は不要だ。


 AirPods Pro 2でも似たようなことは可能だが、AirPods Pro 2とペアリングする全デバイスで同じApple IDでサインインしたり、最新バージョンのiOS、iPadOS、macOSを利用したりしなければならず、いわゆるApple縛りがあって不便だ。このようなOS縛りが嫌な人にはPixel Buds Pro 2をおすすめしたい。


 充電ケースの使い勝手についてはどちらもよい。どちらも手で握りやすいフォルムで大きすぎずちょうどいい。サイズはAirPods Pro 2が60.6(幅)×45.2(高さ)×21.7(厚さ)mm、Pixel Buds Pro 2が63.3(幅)×49.9(高さ)×25.0(厚さ)mm。Pixel Buds Pro 2はAirPods Pro 2より幅が2.7mm細く、高さが4.7mm低く、厚さが3.3mm薄くなっている。


 イヤフォンを収納した状態の充電ケースを「探す」機能はどちらも使える。AirPods Pro 2なら「探す」アプリ、Pixel Buds Pro 2なら「デバイスを探す」アプリから利用できる。基本的な使い方も似ている。アカウントでログインし、地図上で探したいデバイスを確認でき、充電ケースのスピーカーから音を鳴らして探すことも可能だ。


 ただ、紛失を未然に防ぐという意味でいえば、AirPods Pro 2の充電ケースに軍配が上がる。充電ケースにストラップホールがあり、ストラップを金属の穴に通して、カバンやリュックサックのチャックに取り付け、落ちないようにポケットなどに収納しておけば、紛失を防げるだろう。これはPixel Buds Pro 2にも欲しいところだ。


●Pixel Buds Pro 2とAirPods Pro 2、どんな視点で選べばいいのか


 ここまでの内容を踏まえると、圧倒的にスタイリッシュな見た目のPixel Buds Pro 2はANC性能が不十分で、AirPods Pro 2は筆者の耳にはフィットしづらいものの、イヤフォンだけで完結できる便利機能があり捨てがたい、といったところ。Gemini ライブチャットの日本語対応でPixel Buds Pro 2の真価はさらに高まるはずだ。


 デバイスを探す機能やGeminiを含め、Googleのサービスに依存するならPixel Buds Pro 2、Apple Musicをよく利用し、ジェスチャー操作に魅力を感じるならAirPods Pro 2を選ぶといいだろう。短期間での試用だが、両モデルの完成度の高さを実感できた。それゆえ、高価な完全ワイヤレスイヤフォンでもある。


(製品協力:グーグル合同会社)



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