【ドラフト2024】西武は貧打戦解消へ強打者指名を アマ球界屈指スラッガー、28歳社会人も狙いたい

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2024年09月26日 17:10  webスポルティーバ

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チーム事情から見るドラフト戦略2024〜西武編

 プロ野球の一大イベント、ドラフト会議が10月24日に開催される。各球団すでに指名選手をリストアップし、最終段階に入っていると思うが、チームの現状と将来を鑑み、今回のドラフトで本当に獲得すべき選手は誰なのか? 今季5月に松井稼頭央監督が休養するなど、シーズン序盤から失速した西武。なかでも得点力不足は深刻で、今回のドラフトでの補強ポイントは明確だ。

 9月25日現在(以下同)、137試合を消化して46勝89敗2分(勝率.341)と、記録的な惨敗に終わった今シーズンの西武。ペナントレースのおよそ3分の2負けている勘定になるが、だからといってすべてダメかと言うと、じつはそうではない。

 失点数474は3位のロッテよりも少ないし、チーム防御率3.10もリーグ4位。投手陣に関しては、十分に戦っていけるだけの手応えを感じたはずだ。

 人材的にも、9勝を挙げてチームトップの防御率2.29をマークしているルーキーの武内夏暉、同じく9勝の隅田知一郎、さらに脇腹の故障から立ち直り、中継ぎの一角を全うした佐藤隼輔の3人のサウスポーは、いずれも入団3年目までの「若獅子」たちだ。

 さらにファームにも、青山美夏人(2年目)、羽田慎之介(3年目)、菅井信也(3年目)が一軍定着を狙って台頭しつつあり、今季絶不調(0勝11敗)だった高橋光成、メジャー挑戦を目指す平良海馬などの頭の痛い問題はあるにせよ、打線に比べれば未来は明るい。

【上位3人は強打者を指名すべき】

 で、問題の「打線」である。

 俯瞰してみると、チーム打率.211はダントツの12球団ワーストであり、得点は優勝したソフトバンクよりも248点も少ない。1試合平均2.42得点ということは、3点取られたら厳しい......ということである。

「打線にテコ入れ!」と叫んでみたところで、アマチュア球界に来季すぐにクリーンアップを任せられるようなスラッガーなどそういるわけではなく、ここはトレード、外国人による補強を合わせた「3本の柱」で考えるのが現実的である。

 現在の「超」のつく投高打低を考えると、立て直しには最低3年を要するだろう。ここは焦らず、じっくり腰を据えて取り組むべきだ。

 そのなかで、今年のドラフトでまず獲りたい強打者が西川史礁(龍谷大平安→青山学院大/外野手/182センチ・88キロ/右投右打)だ。侍ジャパン学生代表の4番として、ここ一番の場面で持ち味の長打力を発揮する高次元の勝負強さは、すでに証明済み。守備、走塁も意欲的で、カッコいいユニフォーム姿も、今の西武が待望する要素だろう。

 今年のドラフトで西武は、ウェーバー制となる2位指名で12球団の先頭になる。つまり、1位候補の選手をふたり指名できるも同然である。

 ならば2位も、打線強化のために使いたい。

 渡部聖弥(広陵→大阪商業大/外野手/178センチ・88キロ/右投右打)が残っていれば即決だ。こちらは長打力と俊足で、リードオフマンも期待できるタイプ。入団後は、球界トップクラスの守備力を誇る外野手として、攻守に期待できる選手になれるだろうし、じつは渡部はサードもこなせるユーティリティプレーでもある。

 こうなったら3位もバットマンで、上位3人をアマ球界の強打者で固めるのはどうか。今の西武にはこれくらいの思いきりが必要なのかもしれない。

 大学生がふたり続いたから、ここは将来性も兼ねて高校生で。正林輝大(神村学園/外野手/178センチ・84キロ/右投左打)か、モイセエフ・ニキータ(豊川/外野手/181センチ・85キロ/左投左打)のどちらかを指名したいが、残っているかどうか。

 どちらも甲子園で強打者の片鱗を見せたが、スイングスピードは互角。正林には俊足、強肩、モイセエフには内角球を長打にできるという、魅力的なアドバンテージを持っている。

 もしくは「来季から使える即戦力を!」ということなら、"打のスペシャリスト"的な選手を社会人から獲得するという手もあるだろう。

 適役は、沓澤侑輝(千葉経済大附高→獨協大→日本通運/外野手/183センチ・88[芳菊2]キロ/右投左打)だ。今季社会人6年目の28歳。今が脂の乗りきった"働き盛り"の選手である。

 懐が深く、145キロ前後の速球にも変化球にもドンピシャでタイミングを合わせることができて、レフト方向にも強烈な打球を放つ。

 社会人の選手が25歳を過ぎると、「もうプロには遅い」と決めつけられていたのは、過去の話である。今はトレーニングも進化し、25歳を過ぎても選手たちの体もプレーもまだまだ若い。プロ野球の世界でも、30代後半のバリバリの選手が各チームに何人もいて、活躍している。

 じつは、社会人の20代後半の選手はドラフトの"盲点"である。

 オリックスの阿部翔太(28歳で指名)、巨人の船迫大雅(26歳で指名)、森田駿哉(27歳で指名)と、近年、好例はいくつもある。

 25歳以上の選手を下位で指名して貴重な戦力にしてきたのは、オリックスの"お家芸"だったが、西武が踏襲しても構わない。来季、アッと驚く活躍が見られるかもしれない。

【将来性豊な高校生投手を下位で】

 野手中心のドラフトになるとは言っても、投手だって将来に向けてしっかり補強しておきたい。昨年6位で指名した村田怜音(れおん/内野手)に続いて、今年も「レオ」がいる。

 柴田獅子(れお/福岡大大濠/投手/186センチ・85キロ/右投左打)はすでに上位で指名されている可能性が高いから、山口廉王(れお/仙台育英/投手/193センチ・95キロ/右投右打)を4位か5位で。右ヒジの手術を乗り越え、この春に覚醒の兆しを見せた超大型右腕。角度抜群の145キロ台前後のストレートと高速フォークが武器だ。

 そしてもうひとり、この夏の甲子園に出場した有馬恵叶(けいと/聖カタリナ/投手/190センチ・78キロ/右投右打)の青天井の可能性も興味深い。これだけの身長があってもボディバランスは抜群で、長い腕をムチのようにしならせて投げ込むストレートは威力十分。

 パワーピッチャーの山口の将来像には「高橋光成」が重なり、スリムでしなやかな投球フォームの有馬は、新監督との噂がある西口文也がピタリとはまる。

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