野球にはいろんな「神様」がいる【山本萩子の6−4−3を待ちわびて】第133回

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2024年09月27日 09:20  週プレNEWS

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野球界の「神様」について語った山本キャスター

大谷翔平選手がすごいことになっています。この原稿を書いているのは木曜日ですが、前人未到の「50−50(50本塁打・50盗塁)」を前週に達成した上に、イチロー選手の日本人最多盗塁記録に並ぶ56盗塁を記録しました。

右ひじのケガの影響で今季は打者に専念すると知った時、正直なところここまでの活躍は予想できませんでした。野球の神様と言われたベーブ・ルースと比較されたほどの稀有な才能は、もはや「生ける野球神」と呼んでも異論は出てこないかもしれません。

20年後に、大谷選手を知らない子供に私たちが彼の偉業を伝えたとしても、信じてもらえないかも。それくらいのすごい記録。私たちは歴史に残る偉業を目の当たりにしているのです。

ベーブ・ルースが代表的ですが、野球界には"神様"がたくさんいます。日本でも、新聞などで「神様・仏様・稲尾様」という呼び名が定着していましたね。

近年では、バントの世界記録を達成した元巨人・中日の川相昌弘さんが「バントの神様」と呼ばれていました。通算バント成功率は9割超え。2024年度のプロ野球のバンド成功率が80%程度ですから、まさに神業です。バント成功率が高くなれば、次に強打者を置けば得点の期待も高まります。神様の存在は、采配をも変えたと言っていいでしょう。

「代打の神様」といえば、川藤幸三さんや桧山進次郎さん、八木裕さんなど元"猛虎戦士"の名前がたくさん挙がりますが、現役で活躍している選手の中では我がヤクルトの川端慎吾選手もそれに当たります。

9月25日の広島戦でも代打でタイムリーヒットを放つなど、その勝負強さを見せてくれました。昨シーズンは代打で3割2分と好成績を残しており、ヤクルトファンは川端選手が打席に立つたびに期待を抱きます。そして、必ず応えてくれます。

ヤクルトの歴代選手の中では、真中満さんが2007年シーズンに代打で31安打という記録を残しています。これはプロ野球における最多代打安打。さらに、代打起用回数98回もプロ野球最多です。

2021年には川端選手も、それに迫る30安打を記録しています(89打席)。川端選手も真中さんも、スタメンとしてバリバリ活躍していた頃は、シュアなバッティングで次々と安打を生み出していました。真中さんは1999年に打率3割を記録。川端選手も2015年に首位打者と最多安打のタイトルを獲得するなど、ふたりとも球界を代表する選手でした。

川端選手はスタメンの座を若手に譲った後も、その衰えないバッティング技術で安打を量産。チームの勝利に貢献するその姿は、まさに神様の名にふさわしいですね。

「代打の神様」は今シーズンも活躍してくれましたが、後輩の手本になるような、熱心に練習に取り組む姿も評価されているとか。代打は試合のどこで出るかわかりませんし、そもそも出場機会がないかもしれない。そんな中で黙々と練習を続け、打席に立った時は結果を出す。まさにプロフェッショナルの鑑ですよね。

代打の貢献度は、打率や安打数では測れないものがあります。勝負強さが魅力の川端選手には、ぜひ来シーズンも活躍してほしいです。

そして、ヤクルトの神様といえば「村神様」。2022年の流行語大賞にも選ばれたように、その名は全国区です。

56号の日本記録達成した2022シーズンに比べると、ここ2年は物足らないという声もあるようですが、今シーズンは「ボールが飛ばない」という声も多くある中で、33本塁打を放ってホームラン王争いを独走しているのは「さすが」のひと言につきます。

さて、そんな村上選手ですが、かねてより海外志望が噂されており、その去就が注目されています。田中将大投手と同じ代理人をつけた、というニュースも飛び込んできましたし、そろそろ移籍も現実味を帯びてきました。もし移籍が決まったらとても寂しいけれど、海外でも"村神教"の信者を獲得してほしいです。

世界を股にかけ、野球の神様に愛された大谷選手のような選手も、代打の神様も、村神様もいるのが野球のいいところ。八百万の神様がいる日本ならではとも言えるかもしれません。

たくさんの神様が一年でも多く活躍してくれることを祈って、今日は筆をおきたいと思います。それではまた来週。

構成/キンマサタカ 撮影/栗山秀作

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