廉価フラグシップ「Xiaomi 14T/14T Pro」発表 ライカ監修のカメラがさらに進化、Googleとの協業でAIも強化

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2024年09月27日 11:01  ITmedia Mobile

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カメラやAI関連機能を強化したXiaomi 14T Pro(右)とXiaomi 14(左)。発表会は、ライカのお膝元であるドイツで開催された

 Xiaomiは、9月26日(現地時間)にドイツ・ベルリンで「Xiaomi 14T」「Xiaomi 14T Pro」を発表した。Tシリーズは、価格を抑えたフラグシップモデルという位置付けで、2023年の「Xiaomi 13T」はau、「Xiaomi 13T Pro」はソフトバンクとオープンマーケット(SIMフリー)で販売されてきた。2機種は、その後継機にあたる。


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 ドイツの老舗カメラメーカーであるライカとの協業で、撮影性能に磨きをかけてきたXiaomiだが、Xiaomi 14Tシリーズでもその機能が正統進化している。これに加え、同モデルからは“カメラ以外”のAI対応も加速させている。Googleとの協業も深まり、日本での導入に期待が高まる。ここでは、2機種の特徴とともに、XiaomiとGoogleのAIに対する取り組みを見ていこう。


●廉価フラグシップのTシリーズ、欧州では0ユーロ販売も?


 型番にTのつくXiaomiのスマホは、手に届きやすいフラグシップモデルという位置付けだ。日本でも5月に発売された「Xiaomi 14 Ultra」は正真正銘のフラグシップだが、これと比べると、機能面では省略されている部分もある。1型センサーや可変絞りといった機能が、それに当たる。


 カメラに関しては、上位モデルのXiaomi 14T Proが、同社独自のカスタムセンサーである「Light Fusion 900」を搭載。これは、日本未発売の「Xiaomi 14」と同じで、センサーサイズは1/1.3型。Xiaomi 14Tには、ソニーの「IMX906」が採用された。2機種とも超広角と望遠カメラも備える。


 最上位モデルよりやや性能を抑えているが、その分価格は安い。フラグシップという位置付けながら、Xiaomi 14T Proは799ユーロ(約12万9000円、9月27日時点のレート)、Xiaomi 14Tは649ユーロ(約10万5000円)。20万円に迫るXiaomi 14 Ultraと比べ、より“現実的”な価格設定になっていることが分かる。


 発表会の開催された欧州では、キャリアが0ユーロで販売するケースもある。2年縛りがあったり、やや高額な料金プランに加入しなければならなかったりといった条件はあるが、販売価格を抑えやすいフラグシップモデルであることは間違いない。コストパフォーマンスのよさを売りにする、Xiaomiならではの端末といえる。


 とはいえ、その機能は一般的なミッドレンジモデルを大きく上回る。プロセッサはXiaomi 14T ProがMediaTekの「Dimensity 9300+」、Xiaomi 14Tが「Dimensity 8300 ULTRA」で、どちらもメモリ(RAM)は12GB。ディスプレイのリフレッシュレートも最大144Hzと高い。


 先代のXiaomi 13T Proは19分で100%まで充電可能な120Wの急速充電に対応しており、ソフトバンクは「神ジューデン」としてマーケティングしていたが、Xiaomi 14T Proもこれを継承。さらに、Xiaomi Tシリーズとして初めて最大50Wの急速ワイヤレス充電にも対応した。Xiaomi 14Tは67Wにとどまるが、それでも他社のフラグシップモデルと比べ、充電速度は速い。


●ライカと協業したカメラがさらに進化、日本でのブランドはどうなる?


 正統進化したカメラは、ライカとの協業で画質を高めている。先に挙げたように、Xiaomi 14T ProはLight Fusion 900を搭載しており、センサーサイズをXiaomi 13T Proから大判化した。Light Fusion 900は、フラグシップモデルの「Xiaomi 14」(日本未発売)にも採用されており、画質にも定評がある。Xiaomi 14TにはソニーのIMX906を採用した。


 2機種とも、画質はコンピュテーショナルフォトグラフィーを駆使した「LEICA VIBRANT」と、ライカの伝統的な絵作りに近づけた「LEICA AUTHENTIC」から選択可能。ライカのカメラで撮れる雰囲気を再現したフィルターも搭載されている。もちろん、撮影した写真にはライカのロゴが入った透かし(ウオーターマーク)を付与することが可能だ。


 Xiaomi 14T Proの画像処理に活用するISP(Image Signal Processor)にはAIを組み込んでおり、Xiaomiはこれを「Xiaomi AISP」と呼ぶ。撮影時に8枚のRAW画像を合成したり、暗所でのノイズリダクションを強化したりといった処理に活用。ダイナミックレンジも広がり、明暗差の大きな暗所での撮影を得意とする。


 ちなみに、Xiaomi 14T Proは、トリプルカメラと超高画素センサーからの切り出しズームを組み合わせることで、焦点距離は15mm(0.6倍)、23mm(1倍)、46mm(2倍)、60mm(2.6倍)、120mm(5倍)の5つから選択できる。対するXiaomi 14Tは望遠カメラが100mm(4倍)のため、選択できる焦点距離もやや異なる。


 発表会には、ライカカメラの開発、モバイルエンジアリングをリードするパブロ・アセベイド・ノダ氏が登壇。Xiaomiとライカが2月に工学研究所を共同で設立したことに言及しながら、2社の協業で誕生したこれまでのスマホを紹介した。Xiaomi 14Tシリーズのレンズは、Xiaomi 14シリーズと同じSUMMILUXとなっており、これもXiaomi 13Tシリーズから進化したポイント。ノダ氏は、「厳しいコンディションでも、F1.6の大口径で驚くべき画質を実現する」と自信をのぞかせた。


 ノダ氏が挙げていたように、Xiaomiとライカの協業は2022年に発売された「Xiaomi 12S Ultra」にさかのぼる。とはいえ、これはグローバルでの話。日本ではシャープがライカの監修を受けたAQUOS Rシリーズを販売している他、ライカ自身のブランドを冠した「Leitz Phone」も3世代にわたっている。こうした事情もあり、Xiaomiのスマホからはライカブランドが外されてきた。


 Xiaomi 14Tシリーズの先代にあたるXiaomi 13Tシリーズにも、ライカのフィルターなどは搭載されておらず、端末にもブランドが刻印されていない。一方で、Xiaomi 14 Ultraはグローバル版と同様、ライカブランドを冠した状態で発売しており、ライカを巡る状況も徐々に変化していることがうかがえる。Xiaomi 14Tシリーズは、カメラ性能を大きく強化しているだけに、日本でもライカブランドを冠して発売できるかは注目しておきたいポイントだ。


●自社とGoogleの両面でAIを強化、協業の深化が今後の課題か


 Xiaomi 14Tシリーズでもう1つ注目したいのが、AIの活用だ。Xiaomi自身のAI機能として、翻訳機能を搭載。翻訳アプリは、画面を2つに分割し、自分と相手それぞれに翻訳した言語を表示することができる。発表会で試した実機では、日本語もサポートしていた。日本で発売されれば、これらがすぐに利用できるというわけだ。


 翻訳機能はアプリで直接呼び出せるだけでなく、電話やZoomなどのビデオ会議アプリ上で起動させることもできるという。対面での翻訳や文字の翻訳だけなら以前からGoogle翻訳などの選択肢もあったが、スマホのシステム上に組み込まれているのが大きな違いだ。それによって、翻訳機能の活用の幅が広がっている。


 ボイスレコーダーが文字起こしに対応したのも、大きなトピックだ。スマホでの文字起こしは、GoogleのPixelシリーズが先行しており、サムスン電子も「Galaxy S24」シリーズで採用した「Galaxy AI」でこれに追随した。一方で、こうした機能を備える端末はまだ少ない。iPhoneもiOS 18で文字起こしに対応したが、現状では言語が英語に限定されている。


 これに対し、Xiaomiのボイスレコーダーは日本語も含む幅広い言語をサポートしており、テキスト化した文章に翻訳をかけるといったこともできた。ハンズオンで試した限りでは、日本語の精度もそれなりに高く、実用性がありそうだと感じた。Pixelシリーズのようなリアルタイムの文字起こしではない点が残念だが、初登場でいきなり日本語に対応している点は評価できる。


 こうしたXiaomiのAIとは別に、Googleとの協業も推し進めている。これによって新たに搭載されることになったのが、「かこって検索」だ。かこって検索も、ボイスレコーダーの文字起こしと同様、現状ではGoogle純正のPixelと、サムスン電子のGalaxyシリーズに限定されていた。ここに3社目として、Xiaomiが加わる格好だ。さらに、Geminiアプリも内蔵する。


 Googleは、AndroidにGeminiを組み込んでいき、スマホのAI対応を進める方針。自社のPixelにとどまらず、サムスン電子やモトローラとの協力体制をアピールしている。例えば、かこって検索はサムスンと共同で開発し、PixelとGalaxyに先行搭載した経緯がある。これが、Xiaomiのスマホにも広がる格好だ。Xiaomi側の視点では、自社とGoogleの両面でAI対応を強化した形になる。


 ただし、現状では既に存在するGoogleのAIを、そのままXiaomi 14Tシリーズに横展開しただけのようにも見えた。サムスン電子がGoogleとの協業でかこって検索を先行搭載したように、Xiaomiならではの取り組みがあれば、差別化にもつながる。その意味では、以前にも増していかにGoogleとの協力関係を深めていくかが重要になっているといえそうだ。Xiaomiの今後の取り組みにも期待したい。



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