トヨタのシート喪失を受け入れた理由。代役で優勝目前のル・マンは「もう1スティントあれば」【ホセ・マリア・ロペスに聞く(2)】

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2024年09月27日 17:10  AUTOSPORT web

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2024年ル・マン24時間で14秒差の2位となった7号車トヨタ。フィニッシュドライバーは、ホセ・マリア・ロペスが務めた。
 ホセ・マリア・ロペスは、かつてWTCC(世界ツーリングカー選手権)で3年連続世界王者に輝き、その後WEC(世界耐久選手権)でトヨタのドライバーとして7年間トップカテゴリーで活躍。2021年には小林可夢偉、マイク・コンウェイとともにル・マン24時間を制覇した。

 そのロペスは、今シーズンから新設されたWEC LMGT3クラスで、アコーディスASPチームのレクサス RC F LMGT3をドライブしている。再び戻ってきたツーリングカーの世界について聞いた前編に続き、この後編では昨年まで戦っていたハイパーカークラスからの転向に際しての心境、そして急遽代役出場を果たしたル・マン24時間などについて聞いた。

■トヨタ/レクサスとは「別のオプションもあった」

──今年LMGT3での新しいチャレンジが始まった一方で、昨年いっぱいでハイパーカーのシートを失ったことについては、どのような思いですか?

ホセ・マリア・ロペス(以下、ロペス):人生にはすべてプロセスがあり、自分の番が来ただけのことだと思っている。チームが若いドライバーのためにチャンスを提供するのは重要なことだし、その必要性は自分も理解している。

 そのために空席をひとつ設けることはチームにとっても難しい決断だったに違いない。対象となるのはマイクだったかもしれないし、他の誰かだったかもしれないし、それが今回は自分だったということだ。もちろん、もっと長くハイパーカーで走り続けたかったし、自信もあった。それでも、新しいプロジェクトや役割を用意してもらっていたし、受け入れることにした。

──中嶋一貴TGR-E副会長は、あなたには他のハイパーカー・チームからの勧誘もあったに違いないと言っていました。それでもトヨタ陣営に残ったのはなぜですか?

ロペス:自分にとってもっとも重要なのは、トヨタ・ファミリーの一員であり続けることだった。もちろん別のオプションもあったけれど、自分は『ファミリー・ガイ』だし、7年もトヨタのドライバーとして働いてきた。だから、トヨタの人々は自分にとってファミリーのようなもので、彼らと離れたくないという思いも強かった。僕はトヨタに忠誠を誓っているんだ。

■選手権争いを「理解して」走ったル・マン終盤

──今年のル・マン24時間では、怪我をしたマイク・コンウェイの代役として、約半年ぶりに7号車GR010ハイブリッドのステアリングを握りましたね。

ロペス:マイクのことは残念だったけれど、トヨタ・ファミリーの一員であり続けたからこそ自分に声がかかり、いい仕事をすることができたと思っている。ハイパーカーには昨年の終わりから乗っていなかったし、ル・マンに関してはシミュレータ作業も行なっていなかったけど、準備はできていたし、まったく問題なくすぐに速く走ることができた。

──レースではさまざまなことが起こりながらも優勝争いに加わりましたが、残念ながら約14秒差で勝利を逃しました。

ロペス:すべてが噛み合わないとル・マン24時間では勝てないが、今年はいろいろな事が起こってしまった。自分たちは予選からさまざまな問題に遭遇し、あまりうまく行っていなかった。そして、決勝でもパンクや電気系のトラブルが発生し、パワーダウンにも見舞われるなど決して順調ではなかった。

 それでも、みんなが頑張ったことで14秒差の2位でフィニッシュすることができた。24時間レースでの14秒は僅差だし、(優勝した)フェラーリに少しラッキーな面があったとも思っている。

──レース最終盤、チームから順位をキープしろと伝えられた時はどのような気持ちでしたか?

ロペス:もちろん最後まで勝負したかったけど、あの時点で自分たちにできることはすべてやっていたし、フェラーリに追いつくためには大きなリスクを冒さなければならなかった。チャンピオンシップを戦う上で、ポイントを取りこぼすことだけは絶対に許されないと理解していたので、受け入れることにした。あともう1スティント残っていたら、きっと勝てたとは思うけどね。

──ル・マンでは依然ハイパーカーで戦える速さがあることを証明しました。再びトップカテゴリーで戦いたいという思いが強くなったのでは?

ロペス:今はLMGT3のプロジェクトに深く携わっているし、それを成功させることに集中している。もちろん、トヨタから再びハイパーカーのお誘いがあったら喜んで乗ると思うし、準備は常にできている。でも今はこのLMGT3プロジェクトを成功させることに、僕は大きなやり甲斐を感じているんだ。

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