イスラエル軍 レバノンへの攻撃激化 “地上侵攻”の訓練も UNHCR駐日代表「一番苦しむのは罪のない民間人」【news23】

0

2024年09月28日 15:16  TBS NEWS DIG

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

TBS NEWS DIG

TBS NEWS DIG

イスラエル軍によるレバノンへの地上侵攻の懸念が高まっています。アメリカなどは停戦に応じるよう働きかけていますが、イスラエルは攻撃の手を緩めていません。

【画像で見る】イスラエル軍 “地上侵攻”の訓練も

イスラエル軍 "地上侵攻"の訓練実施 「一番苦しむのは民間人」

イスラエルによる激しい攻撃が続いています。26日もイスラエル軍は、レバノンの首都ベイルートの郊外などを攻撃。イスラム教シーア派組織"ヒズボラの幹部を殺害"したとしています。

イスラエルの攻撃は激しさを増していて、レバノンの保健当局によりますと、23日以降、700人近くが死亡したということです。

外務省関係者によりますと、レバノンには50人ほどの日本人が滞在。木原防衛大臣は日本人の退避に備え、周辺のヨルダンとギリシャに航空自衛隊の輸送機を派遣し、待機するよう命じました。

2023年1月までレバノンに駐在していた国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の伊藤礼樹駐日代表は…

──特にこの数日間、この緊張の高まりをどう受け止めている?

UNHCR 伊藤礼樹駐日代表
「レバノンの友人にテキストメッセージを送って『どうなってる?』と。11万人が家を追われて着の身着のまま家を出て、どこに行っていいかわからないという人が非常に多いと聞いています。(亡くなっている)50人が子どもなんですよね。外交的な解決を模索するのが早急の課題だと思います」

しかし26日、イスラエル軍はレバノンへの地上侵攻を想定した訓練を実施。「様々な戦闘のシナリオに向け準備体制を強化した」としています。

──2006年、レバノンでのイスラエルとの緊張激化と同じか、それ以上のことが起きる?

UNHCR 伊藤駐日代表
「(当時)レバノンに行って橋や道路が破壊されているのも目にしたし、当時は10万人近くがレバノンからシリアに避難しました。今回はそれ、あるいはそれ以上になるのではないかと本当に心配になっています」

──過去、イスラエルがレバノンに侵攻した時と今を比べると?

UNHCR 伊藤駐日代表
「同じところは、一番苦しんでいるのは罪のない民間人。その人たちが避難民・難民になり家を失って、ひどいときには何十年と家に帰れず、命を落とす。それが歴史を繰り返す中で、その悲劇も繰り返されている」

イスラエルのネタニヤフ首相は国連総会に出席するためニューヨークに到着。記者団に「目標をすべて達成するまで止まることはない」と話しました。

アメリカは一時停戦を求めていますが、イスラエルは停戦を拒否しています。

イスラエル ヒズボラとの停戦案拒否 「全力で攻撃続ける」

喜入友浩キャスター:
イスラエルは現在、南部ではガザ、北部ではレバノンと衝突している状態です。そのイスラエルに対し、日本・アメリカ・フランスなどはレバノンの国境地帯での21日間の停戦を呼びかけていますが、イスラエルのネタニヤフ首相は「全力で攻撃を続ける」としています。

23ジャーナリスト 須賀川拓 記者:
ガザとレバノンの両方で衝突しているわけですが、イスラエル側の言い分としては「イスラム教シーア派組織ヒズボラが民間人を盾に武器を隠している。あくまでもターゲットはレバノン国民ではない」と言っているのです。

この内容の主語を入れ替えてみると「イスラム組織ハマスが民間人を盾に武器を隠している。あくまでもターゲットはガザ市民ではない」となります。

要するにこれまでの言い分と全くずれていません。レバノンでは、双方の戦闘員や組織の幹部たちが排除されていますが、あまりにも多くの民間人も殺害されているのです。そうすると当然、戦争犯罪の可能性も拭えなくなってきます。

24日、国連のグテーレス事務総長は「レバノンがもう一つのガザになるのを許すわけにはいかない」と発言するなど、かなり緊迫した状態になっています。

上村彩子キャスター:
地上侵攻となった場合、どのような事態が予想されますか。

須賀川 記者:
先日レバノンでは、各地でポケベル型通信機やトランシーバーの爆発が相次ぎました。手が吹き飛んでしまったり、顔面にかなりの重傷を負った人たちが治療を受けているのですが、レバノンは医療崩壊に近い状態に陥っています。そのような状況で仮に地上侵攻が起きれば、助かる命も助からなくなってしまいます。人道危機が極めて深刻になる可能性がもう目前なのです。さらに言うと、ヒズボラはレバノン国軍よりも戦闘員数やミサイルを多く持っているので、イスラエル側が「全力で攻撃を続ける」と言ってはいるものの、ヒズボラがそれに対して全力で対抗すれば、イスラエル側の被害も想像を絶するものになるでしょう。今できることは日本・アメリカ・フランスなどがイスラエル側に半ば強引に停戦協議をのませるしかない状況だと思います。

    前日のランキングへ

    ニュース設定