「忘れてないよ 忘れないよ」御嶽山の噴火災害から10年 経験と教訓を未来へ

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2024年09月29日 18:17  TBS NEWS DIG

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TBS NEWS DIG

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死者・行方不明者63人を出した御嶽山の噴火災害から10年。当時、噴火に巻き込まれながらも生還した男性は、亡くなった仲間を偲び、山に足を運び続けています。

長野県と岐阜県にまたがる御嶽山。今年7月、里見智秀さん(57)の姿がありました。

里見智秀さん
「10年前も『もう山頂見えるよ』って言ってたけど、違ったんだよな」

10年前の9月27日、職場の仲間と9人で御嶽山を訪れていました。

山頂で噴火に巻き込まれた9人。里見さんは生還しましたが、5人が亡くなり、1人はいまだ行方不明です。

里見智秀さん
「ここに自分が来ることによって、自分でも『忘れてないよ、忘れないよ』という意味合いもある」

あの日を、忘れないために。この10年間、御嶽山やふもとの木曽地域に繰り返し足を運んできました。

噴火に遭った、山頂の剣ヶ峰(標高3067m)です。

里見智秀さん
「たぶん、このあたりだと思う。甲高い、大音量のパンという音が聞こえたので、うん?と思って、何気なく、こっちを見てみたら、噴煙がうわっと上がった」

とっさに、神社の祈祷所まで走り、棚の下へ潜り込みました。

里見智秀さん
「徐々に、視界がきかなくなってきて、漆黒の暗闇になっていく。何も考えずに、とにかく、生きていたいと思っていました」
「噴火の日、昼ごはんを食べられなかった。それもあって、ここに来るときは、ここで食べようという気持ちで」

噴火が起きた時刻、11時52分。

里見智秀さん
「僕の声を、気持ちを届けるだけで、それでいいと思っている」

里見さんは、新たな一歩を踏み出しました。火山防災の周知を目的として噴火災害を機にできた、「御嶽山火山マイスター」。里見さんは今年、県の認定試験に合格し、活動を始めました。

里見智秀さん
「生還体験の伝承と火山噴火の犠牲者を出さないというのが、2本柱」

経験と教訓を、未来へ繋ぎます。

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