もし自分がもうひとりいれば――。誰しもが考える願望だが、ならば3人いればもっと頼もしいだろう。Xにポストされた漫画『3人いる話』は、そんな夢の実現をコミカルかつポップに描いている。
(参考:漫画『3人いる話』を読む)
本作は作者・みやさん(@tukutyan)の同人誌から前半部分を切り抜いたもの。全体の半分程度の試し読みでも、不思議な世界観に興味を持つには十分な内容だ。この作品が生まれた背景には何があるのだろうか。(小池直也)
――多数のいいねが集まっていますが、ご自身としてはいかがですか。
みや:思った以上に拡散されたなと感じています。自分で読んだら面白いと思う作品を描いてはいるので、同じような部分に刺さってくれた方がいたのかなと。若い方から60代くらいの方まで、幅広く感想をいただけました。
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――着想や制作のきっかけは?
みや:コミティアに出す同人誌を何か書こうと思って、浮かんだアイデアを形にしました。「自分を大事にする」と言われがちな世の中ですが、日常でそれをするのって難しいと感じていて。でも自身を客観視できれば「大事にしなきゃ」と実感できるかもしれない、というのが着想です。
――それが2人ではなく、3人というところも特徴かと思いました。
みや:最初は5人いる設定にしようと思ったんです。それくらいじゃないと、やることが多すぎて大変だ……と。でも5人描く方が無理で(笑)。結局はシンプルに仕事と家事、そして自分の3人ということにしました。
――自分が3人になったら、みやさんはどうします?
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みや:全員で猛烈に仕事をしてお金を稼ぎ、それから全員で休むと思います。
――「さすが私……私のことよくわかってる」、「何をしてもいいし、しなくてもいい」など絶妙なセリフも印象的でした。これについては?
みや:短いセリフでいかに伝えるかは考えています。日常で友達に言われて、心に留まった言葉があれば、スマホにメモするようにしてます。
――作画などで意識したことがあれば教えてください。
みや:主人公がどれくらいの給料をもらって、どういう家具を置いているかというのは意識して描きました。彼女の部屋にある椅子はキューバチェア。あれは10万円以上するので、結構高いんですよ。
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「この子だったら、これくらいの椅子を買うだろうな」と考えながら描いています。髪が長いのも忙しくて美容室に行けてないから、という意図でした。見えない設定は大事だなと最近は思っています。
――また藤子・F・不二雄さんの作品に「俺と俺と俺」という、似た題材の作品があるとか。
みや:そうみたいですね。誰かが描いているだろうと思いましたが、驚きました。機会があったら読んでみたいです。
――個人的に影響を受けた作家さんがいますか?
みや:『動物のお医者さん』などの佐々木倫子先生。淡々とした感じのギャグセンスが大好きで、真似しようと思ってできないのですが、先生のイズムが自分にもある気がしています。
――今後の展望があれば聞かせてください。
みや:年齢層やカテゴリに縛られない、老若男女に読まれる作品を描いていければ嬉しいですね。今は自分でマネタイズもできるように試行錯誤している段階ですね。連載もしてみたいですが、それよりずっと漫画を描いていたいと今は思っています。
(小池直也)
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