ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長は6月の株主総会で、SBGの使命を「ASI(Artificial Super intelligence、人工超知能)を活用しながら人類の進化に貢献すること」だと話した。今回は孫正義氏のChatGPTの使い方を、お届けする。
株主総会ではASIを「人類の知能の1万倍」と定義。ASIの時代が10年前後で訪れると予測した。
孫氏は2023年10月に都内で開いた自社イベントでも「SBGを世界で最もAIを活用するグループにしたい」と力説。汎用型人工知能であるAGI(Artificial General Intelligence)について語り「AGIは10年以内に実現する」と述べていた。AGIが達成された状態については「人類の英知を総和した10倍くらい優れている状態に達したとき」と定義し、何を聞いても人間よりAGIの方が優れた回答を出す状態だとしている。
今回の株主総会では「AGIは3〜5年くらいで来るんじゃないか」と話した。その上で「ASIは10年以内に来る」とし、自社イベント登壇時よりも早期にAGIやASIの時代が来るとの見方を示している。
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「ASIを避けることはできない。だったら避けるよりも今から積極的に使っていくべき。 僕だってChatGPTを毎日ガンガン使っていますからね。ヘビーユーザーです」(孫氏)
「ASIに向けて準備しておくべきことは?」との株主からの質問には、自身のChatGPTの使い方を披露しながら答える場面もあった。「部下と議論するより面白い」と会場を沸かせた“孫正義流”ChatGPTの使い方とは。
●天才科学者A・B・Cと定義 「目の前でディベートしてくれ」と指示出し
「僕のChatGPTの使い方は、語り合いのパートナーなんですね。何かを検索するというよりはアイデアの壁打ち、 ディベート相手なんです」
孫氏は日々のChatGPTの使い方を明かした。具体例としてChatGPTに対し、それぞれの特徴を持った天才的科学者A・B・Cなどと条件を設定。その上で「あなたが天才的科学者だとしたら、この問題をどう解決するか。僕の目の前のディベートしてくれ」などと指示を出すという。
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「それで、ずっとディベートをさせるんです」
例えば天才科学者BとCが「天才科学者Aの意見に賛成だとか反対だとディベートをする」。そうなると孫氏は「違う角度から、自分なりの発想で切り替えてコメントしてほしい」などと再び指示を出してディベートを続けさせるという。
「ぐるぐるぐるぐるディベートさせて、 コンセンサス(意見が一致)ができた時には、その状態はコンセント(同意)という状態。そのコンセントが取れるまでは、僕の目の前で意見を戦わさせます。めちゃくちゃ面白いです。ものすごい有益です。部下と議論するよりも、見ていたら面白いという感じ(笑)。やり出したら止まらないですね」
来たるべき世界では、いちいち自分でこのようなインプットをしなくても、人間とASIが対話をする時代が訪れるのではないかという。
「(例えば)眼鏡みたいなものをかけていたら、自分と同じように、過去にしゃべった会話、過去に会った人、過去の会議など全てを理解してくれる。その上で、もっとコメントを言ってくれる。アドバイスしてくれる。そういう状態になるでしょうね。もう敵わないですよ。 ただでさえ(人間の)1万倍くらい賢いのに、日々刻々とデータをアップデートして、頭脳のレベルアップをする。もう生活の中で完全に融合している世界が来る」
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孫氏は、将来的に「一人一人が自分のエージェントを持つようになる」とも指摘した。そのエージェントと、健康や投資、日常生活についても話すようになるという。
「自分にとってのパートナーであり、メンターであり、師匠であるような、そういうパートナーを、仮想空間の中に1人で何人も持つ形になるんじゃないかと思います」
●OpenAIに「1兆円出資」を検討した過去も
孫氏はChatGPTを運営する米OpenAIに、かつて1兆円の出資を検討していたことも明かした。
「僕は決意していたんです。(OpenAIのCEO)サム(・アルトマン)もほぼその気になっていた。でもサムはやっぱり仲間とも話をしなきゃいけないし、彼も迷っていた。僕は心を決めていたんですけどね。でも結果的にサムは、Microsoftの方の1兆円を受け取ることに決めた。正しい判断だったと思いますよ。やっぱりMicrosoftは世界一の会社ですからね。販売網も技術力も資金力も持っていますから」
その上で孫氏は「逃した魚は大きいが、語っても仕方がない。それよりも今から」と話し、現在は複数のパートナーと共にASI実現に集中していると語った。
(アイティメディア今野大一)
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