「有名女優が小中の同級生にいた」30代男性。いまだに“罪悪感”を感じ続ける理由

芸能界で活躍している俳優や芸人、アイドルにも当然ながら学生時代はあった。当然、同じ教室で勉強した同級生がいるわけで、ファンからしたら羨ましくて仕方がないだろう。そんな経験をしたことがあるのが、今回お話しを聞いた関東地方に住む前田智明さん（仮名・30代）。同級生に現在も第一線で活躍するタレントがいたのだという。
◆当時から目立つ存在だった、某有名女優

「自分の小中学校の同級生に、現在は女優として活躍しているAがいたんです。当時から美人でスポーツもできる有名人で目立つ存在でした。自分は家が近かったので、小学生の頃はよく一緒に遊んでいたし恋心を抱くあこがれの存在でした。現在も女優として活躍しているので、影からずっと応援しています」

前田さんが同級生だったというAさんは、詳細を書いてしまえば誰でも知っているような有名な女優。確かに現在も抜群の美貌をほこり、女性からもあこがれの存在として大活躍している。

◆一緒に帰ることもあったのだが…

同じ教室で勉強していたとはうらやましい限りだが、前田さんは複雑な表情を見せた。

「Aは、小学生の頃はクラスの中心的な存在だったのですが、中学校に入ってからはイジメられるようになって……。ビジュアルが抜群に可愛かったこともあり、他校からわざわざ見に来る生徒がいて、これで先輩から目をつけられたんです。クラスや部活動で孤立してしまい、Aはあまり学校に来ることができなくなりました」

アイドルや女優が学生時代にイジメられていたという話はよくあるが、Aもまた目立つ存在でイジメの対象になってしまったようだ。そんなAさんだが、前田さんは何度か一緒に帰るなど急接近したことがあったという。

「家が近かったので、たまに帰り道で鉢合わせることがあったんです。Aはいつも暗い顔をしていて、心が痛み、幼なじみなので励ましてあげようと一緒に帰ることもありました。Aのことが好きだったのもあってサポートをしようとしたのですが、ある日クラスメイトに2人で帰る所を見られて冷やかされることに。結果として、自分もイジメの対象になるのが嫌で、だんだんとAと疎遠になってしまいました」

◆引っ越ししたあと、音信不通だったAさんが…

Aさんはのちに他の地域に引っ越してしまい、どこの高校に進学したのかも同級生に知らされることは無かったという。ずっとAのことが心に引っかかっていた前田さんは、芸能人としてテレビで活躍する姿を見て、腰を抜かすほどに驚いたそうだ。

「Aが何をしているのかは全く不明でした。そんな時に、中学校の同級生がAのことを雑誌で見かけ教えてくれたんです。自分が住む地域から有名人が出るなんて珍しいことで、同級生の間で話題となりました。中には、イジメていたことなんて忘れて、同窓会に呼びたいと浮かれている同級生もいました」

◆なぜイジメを止められなかったのかと後悔

ただ、中学生の頃にイジメられっ子だったAさんの連絡先を知る同級生はいなく、当然ながら呼ぶことはできなかったそうだ。

「同級生の一人は、インスタにDMを送ったそうですが、当然ながら無視された。中にはAの熱狂的ファンの同級生もいて、中学生の時にイジメていた女子の集団を恨んでいるなんて噂も聞きます。自分は、もっと積極的に関わっていれば未来が変わっていたんじゃないかと後悔しっぱなしです。メディアで中学校時代の話をほとんどしていないので、やはり我々のことを快く思っていないのでしょうね。後の祭りですが、活躍を見ていると中学生時代に戻ってやり直したいと時々思います」

前田さんは、イジメ行為を見ないふりした罪悪感がいまでも消えないとか。

「もし、やさしくしていたら付き合えたかもという下心はあります。ただ、『なぜイジメを止められなかったのか』という罪悪感のほうが強い。Aは引っ越して高校では楽しくやったのかわかりませんが、中学生時代は語りたくないほどに嫌な思い出しか無いわけですからね。当時イジメていた女子たちはどんな気持ちなのか解りませんが、少なくとも自分だけでなく多くの同級生が申し訳ないことをしたと反省しています」

美人女優が同級生にいたという漫画のような展開だが、現実はあまりにも寂しい結末になってしまったようだ。

＜TEXT／高橋マナブ＞

【高橋マナブ】
1979年生まれ。雑誌編集者→IT企業でニュースサイトの立ち上げ→民放テレビ局で番組制作と様々なエンタメ業界を渡り歩く。その後、フリーとなりエンタメ関連の記事執筆、映像編集など行っている