ウーバーイーツ配達員が注文者からの応答がないときに使う「10分タイマー」が「12分タイマー」に変更! 【チャリンコ爆走配達日誌】

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2024年10月03日 07:10  週プレNEWS

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「10分タイマー」が「12分タイマー」に変更されたことで起こりうる新たな問題とは!?

連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第69回

ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!

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つい先日、ウーバーイーツの配達員用アプリがアップデートされました。

過去にはアルゴリズムが変更されて収入が減少する、最新版に更新するとなぜかアカウントが停止になるバグがあるなど、中には配達員の収入減につながるものがけっこうあったので、スマホのアップデート画面に配達員用アプリのアイコンが出てくるとテンションが下がります。今回のアップデートについても、8月に運営から配達員へ届いた一斉メールで内容を把握していたので覚悟はできていたのですが......。

どんなアップデートが行なわれたのか。タイトルの通り、配達先の方が不在だった時などに使用する「10分タイマー」に関するものですが、このタイマーがなんと「12分タイマー」に変更されました!!!!!!!!!!!

おそらく配達員以外の方は「2分増えただけじゃねーか。『!』を11個もつけるほどのことなのか。大げさだろ!」と感じたことでしょう。ですが、この2分は少なくともバイクよりスピードの遅い自転車を使い、都内のマンションが林立するエリアで配達をしている私にとってはとんでもなく大きな時間なのです。

10分タイマーの詳しい内容については、以前この連載で触れた「ウーバーイーツ配達員が注文者からの応答がないときに使う『10分タイマー』」をご覧いただければどんなものか分かると思うので詳細は省略しますが、簡単に言えば、指示された配達先に到着した際、注文された方と連絡が取れなかった場合に使うもの。このタイマーを発動させてから10分の間、配達員に何も連絡がこない場合、配達を終了してもいいというシステムです。

「2分延びれば、注文する側にとってウーバーからの連絡に気づく可能性が増える。電話で重要なやりとりをしている場合、インターホンが鳴っても対応できないし、スマホに連絡が来ても受けることは不可能なのでサービスの向上につながる」と考える方は多いと思います。

確かにそのような側面もあるのですが、最近のウーバーイーツの配達は2件もしくは3件分の同時配達が主流なので、これがタイマー2分延長の大きな問題となるのです。

私がマンションへ配達する場合、配達員用アプリで指示された建物に着いたら自転車を近くの停められそうなスペースに置く→歩いてマンションのエントランスへ向かう→建物の入口でインターホンを押す→相手が出るまでしばらく待つ、という流れで進めます。

ここで相手が出なかった場合、もう1回インターホンを押す→注文された方とのチャット機能で「マンションの入口に到着しました。インターホンを押しているのですがご不在でしょうか」という文面を入力する→注文された方との電話機能を使って電話する、というステップを経てから10分タイマーを起動。それでもリアクションがなかった場合「連絡がなかったので配達を終了します」とチャット機能で伝え、配達完了ボタンを押して配達を終了させて自転車へ戻ります。

時間に換算すると自転車を停めてから10分タイマーを起動させるまでが5、6分。タイマー終了後、配達完了のボタンを押して自転車へ戻るまで2、3分。自転車を停めてから再び乗り出すまで17分から22分かかる計算となります。

ウーバーイーツ注文者用のアプリ機能には、配達員が現在どこにいるのか確認できるGPSを使ったものがあるのですが、この機能で配達員を見ると、配達員はその間、同じ場所に留まっているように見えてしまいます。もし3件同時配達の際に、前の2件で10分タイマーを使った配達だった場合、3件目の方には、マンションに立ち寄るたびに休憩しているように映ってしまいます。

10分タイマーが2分延長されると、同じ場所に留まる時間は19分から24分。3件同時配達の最悪のパターンの場合、12分タイマーで2ヵ所合計38分から48分、配達員がまったく動かない時間がある計算になります。

10分タイマーの現在でも、最悪のパターンは34分から44分なので、たったの4分の話と言われればそれまでなのですが、ウーバーイーツの利用者の中にはお昼休みのような限られた時間の中で食事を済ませたい方や、温かいもの、冷たいものなど早く運ばないと質が落ちてしまう料理を注文される方が多数います。

さらに空腹のストレス状態で配達員が同じ場所にずーっといたら、イラッとした感情が芽生えるでしょう。そのような状況で配達員にBADの評価をつけると、配達員はその注文者に悪感情を抱くことでしょう。

注文する側と配達する側の溝が深まるのは、お互いにとってマイナスでしかありません。たかが2分と感じる方も多いと思いますが、個人的には今回の12分タイマー問題を機に、SNSでさらし合うみたいな感情のぶつかり合いが起こらなければいいのですが、と心配してしまいます。

文/渡辺雅史 イラスト/土屋俊明

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