高学歴ほど要注意の“すべき”で終わる人生。20代のうちにやりたい「夢中になれる仕事」の模索法2つ

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2024年10月03日 21:51  All About

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新卒で企業に就職しファーストキャリアを経験する20代。異動や転職などキャリアの節目を迎える人も出てくるが、20代こそ自分の「ライフワーク」を模索してほしい。今回は若手社会人のキャリアにおけるライフワークの見つけ方について紹介していく。
研修講師やライターのようにさまざまな企業と一緒に仕事をしていると、ときどき担当者であった社員から「退職のご挨拶」のメールが届くことがある。先日もあるパートナー企業の20代若手社員から退職する旨の連絡をいただいた。

20代を新卒で入社した1つの会社で過ごすべきか?転職して2〜3社経験した方が良いのか?という質問に答えはないが、20代のキャリアを通じてぜひ考えてほしい問いがある。

それは「自分のライフワークとは何なのか?」ということだ。

まさに20代のキャリアは自身の「ライフワークを見つけるための旅」だと思う。ある意味、それを探すために異動などを通じてさまざまな業務や部署を経験したり、人によっては社外に転職したりすると言ってもいい。

では「ライフワーク」とは一体どんなものなのか? 経験がまだ浅い20代を通じてどうやって見つけていくべきなのだろうか?

「趣味」と「仕事」の間に位置する「ライフワーク」とは一体何なのか?

「ライフワーク」とネットで検索すると「自分の人生をかけられる仕事」や「天職」のような表現が多く出てくるが、実際には「趣味の釣りを長年のライフワークにしています」のように、より身近な使われ方もされている言葉である。

ここで使われている意味合いとしては、趣味や仕事を問わず「心から自分がやりたいと思っていること」で、かつ習慣的、継続的に「長く続けているorこれからも続けていくこと」といったところであろう。

キャリアにおいて「ライフワーク」とは「趣味」のように好きなことで、かつ「仕事」としてもある程度稼いでいける「趣味と仕事を掛け合わせたようなもの」としてイメージするといい。

「趣味」の目的が「好きなことをして楽しむこと」であるならば、「仕事」は「働いてお金を稼ぐこと」である。一見相反する2つの事柄ではあるが、趣味で長年やっていたことが気付いたら仕事になってしまう人もいるし、時に仕事であるはずのその業務に夢中になって取り組んでしまった経験がある人もいるだろう。

実際に筆者自身も、自分が好きなテーマの研修内容をパソコンで作っているときや、受講者が研修中に本当に楽しそうに学んでいるようなときは、時間を忘れてその仕事に夢中になっている。この瞬間は趣味以上にやりがいや楽しさを感じている。

そういう意味で「ライフワーク」は仕事であることを忘れてしまうくらい夢中になれたり、自分の気持ちがついつい乗ってしまったりする仕事のことといえる。

ではなぜ20代のキャリアにおいて自身の「ライフワーク」を模索することがそこまで重要なのだろうか。

優秀な20代社員ほどMustを重視し、Canを過小評価し、Willにフタをする

ここではキャリアの分野でよく使われるWill・Can・Mustのフレームを活用して説明する。

Will・Can・Mustはその言葉通りで、Willは「やりたいこと」、Canは「できること」、そしてMustは「すべきこと」という意味であり、キャリア研修などではそれぞれの社員のWill・Can・Mustを抽出して、それを現場の業務や将来のキャリアデザインに生かしていく。

筆者自身が多くの大手企業でキャリア研修を実施してきた経験から感じるのは、20代社員の多くがこの3つのバランスが偏っているということだ。シートにそれぞれを書き出してもらうとMustはたくさん出てくるのに対し、Canは自己評価が低くて書けず、Willに関しては「考えたこともなかった」という社員がほとんどである。

実はこれには企業側も頭を悩ませている。現在ジョブ型人事制度を進めている企業は、今まで会社側で勝手に決めていた異動のタイミングや、移動先の部署や業務を、社員自身の意向を重視して決めてもらおうとしている。

しかしWillを考えたこともなく、若さゆえに成功体験も少なくCanの自己評価が低い20代は、自分で異動したい部署ややりたい業務を意志決定することが難しいのだ。

これは日本の教育も少なからず影響している。

大手企業の優秀な社員の多くは偏差値が上位の大学出身者であることが多い。中高の受験ではMust(勉強しなければいけないということ)に多くの時間と労力が割かれ、Will(本当に学びたいこと、やりたいこと)にフタをして必死に頑張る必要があった。

そのため企業に入社しても、会社からのMust(会社から与えられた業務やミッション)に対しては意識が強く、全力で応えようとするが、あまり自分のWill(本当にやりたい仕事・好きな仕事)を考えることはしない。

しかし本来はまだ業務経験が浅く、将来の選択肢が広い20代こそ、さまざまな経験を通じて自分のキャリアにおけるWillを考えることはとても重要なことである。そのためには積極的に異動や出向、転職するなどして自分を客観的に見つめ直し、ライフワークについて考える機会を持つべきなのだ。

「趣味」と「仕事」からそれぞれライフワークのヒントを得る

ライフワークを見つける際のアプローチは大きく分けて2つある。

1つは「趣味」や「好きなこと」などWillの中からヒントを得る。今打ち込んでいる趣味や、学生時代に自分らしかった経験や活動などを思い出しながら、その中で少しだけ周囲よりも「得意だったこと(Can)」を見出す。ただの趣味であれば楽しいだけでいいが、それを仕事にしていくためにはある程度得意である必要がある。

筆者であれば部活や文化祭の実行委員など、ある程度の集団に対して自分発信で何かを伝えたり、導いたりしている瞬間が好きだったし、意外と得意だった。当時はそれが仕事になるとは思ってもみなかったが、結果的に研修講師の仕事は「集団に語りかけ、導く仕事」なので、そのときの経験が大いに役立っている。

2つ目は現在の会社での「仕事」のMustの中からライフワークの種を探す。仕事なので好き嫌いの感覚でやってはいけないが、ここはあえて業務を細分化して「好きな仕事」と「嫌いな仕事」に分けていく。営業であれば「顧客へのプレゼン」は好きな仕事だが、「社内の事務作業」は嫌いな仕事、のように分けていく。

そして好きな仕事の部分に対して、さらにどんな内容であればもっとやってみたいというWillが発動するのかも妄想してみる。

筆者であればリクルート時代は1対1の企画書を使った商談が多かったが、複数人に対してのスクリーンを使ったプレゼンを想像するとワクワクした。ワクワクするということは、それが他の業務や人よりも得意なこと(Can)である可能性が高い。

上記の2つのアプローチから自分のライフワークのヒントを得たら、それらを経験できるような機会や職種を模索してみる。今の会社や業務で実現可能なのであれば、社内でチャンスを狙ってもいいし、会社を変えた方が機会がありそうであれば転職してみてもいい。

筆者はリクルートにいた頃は、営業のみしか経験できなかったが、その後社員5人の小さな人材系の会社に転職したことで、営業だけでなく学生向けの説明会、人事担当者向けのセミナー、そして新入社員研修の運営と講師っぽい仕事を体験することができたのが大きかった。

もし20代に会社からのMustだけを必死に果たそうとして、営業目標だけを追っていたらライフワークとの出会いはなかった。経験がないなりに自分や仕事を客観的に振り返ってみたり、環境を変えてみたりしながら、模索したのが良かった。

20代はぜひ自分のライフワークを見つけるためにさまざまな経験をしてほしいし、そのために勇気ある決断ができた人はぜひ自分の可能性を信じて自信を持って前に進んでほしい。
(文:小寺 良二(ライフキャリアガイド))

このニュースに関するつぶやき

  • 20代で最も大切なことは自立して生活できる能力基盤を作ること。まずそれを忘れてはいけない。それを身につけてからのライフワークじゃなかろうか。それを身につけないと高確率で失速する。
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