「イシバノミクス」に“手のひら返し”の声も… 最低賃金1500円は可能?「選挙もあるので」経済再生担当大臣・財務大臣も日銀総裁と面会【news23】

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2024年10月04日 14:08  TBS NEWS DIG

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「イシバノミクス」で物価や賃金など私たちの生活はどうなるのでしょうか。石破総理の“利上げ”に関する異例発言で株価も乱高下、脱アベノミクスはどこへ?市場関係者からは「手のひら返し」の声も。

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「イシバノミクス」に期待感は 総理発言で株価反発も

三原じゅん子こども政策担当大臣が待っていたのは、前任の加藤鮎子氏です。3日、引き継ぎが行われましたが、同じような服装が気になったようです。

三原じゅん子 こども政策担当大臣
「かぶったね、色ね。もっと可愛らしく来るだろうと思ったから。ごめんね」

加藤鮎子 前大臣
「最後の日ぐらいはと思って」

石破内閣は3日、副大臣、政務官の人事を決定しましたが、大半は岸田内閣からの再任となりました。

石破茂 総理
「各副大臣においては、内閣の一員として政策の実現にまい進していただきたいと存じます」

日銀の植田総裁と会談した石破総理。その後の「追加利上げの環境にはない」との発言を受け、3日の日経平均株価は一時1000円以上、大幅に反発しました。

さらに3日は、加藤財務大臣と赤沢経済再生担当大臣が、植田総裁と面会しました。

ーーー(面会は)政府側から提案?
赤沢経済再生担当大臣
「どちらからと申し上げるほど知識がないのでありますが、これから解散もあれば、新政権もアレしているので、ご挨拶も兼ねて(政府側が)申し入れたで間違いないだろうと思ってますけど。いいかなそれで。あまりあの…自信をもってアレでもないようなので、私の責任においてそうだろうと理解をしております。石破政権の経済政策『イシバノミクス』の基本的な考え方である、賃上げと投資がけん引する成長型経済の実現について伝えた」

大正時代から続く都内の老舗銭湯。最近、電気代やガス代が高騰しているといいます。

大塚記念湯 安中妙子さん
「お風呂屋さんも今いろんな設備がありますので。これはジェットバスで。電気とかガスって便利でいいんですけど、お値段がちょっと高くて大変なんですよ。補助金で割安になっていて、ちょっと一息ついたかなと思っていたんですけど」

今月で打ち切られる予定の電気とガスの補助金。赤沢経済再生担当大臣は、延長することを示唆しています。

安中妙子さん
「ずっと続けばいいんですけどね。そういうわけにもいかないでしょうから。皆さん喜んで入りに来ていただけますので、電気代が高いからやめますというわけにいかない」

「イシバノミクス」と呼ばれる経済政策、期待感はあるのでしょうか。

会社員(30代)
「今は物価高に賃金が追いついているところと追いついてないところがある。賃金の底上げが一番いいのかな」

大学生
「最低賃金上げたいなら、扶養の話も同時にやらないと厳しいと思う。103万の壁がある」

幼稚園教諭(20代)
「教職業界はブラックで賃金が低いと言われているので、少しでも賃金を上げてほしい」

“石破ショック”株価乱高下に手のひら返し?

小川彩佳キャスター:
まさに私達の生活を左右するわけですから、切実に気がかりな方が多いと思います。石破総理の発言で市場は乱高下していますね。

23ジャーナリスト 片山薫 記者:
石破さんが株価の乱高下に対し、手のひら返しをしているのではないかという話ですが、元々石破さんは「アベノミクス」に批判的。ゼロ金利・マイナス金利では経済は良くならないということで、金利は正常化すべきという考えを示してる方だったんです。ところが実際に総理になると、“石破ショック”といわれるような株価下落があったことで、手のひら返しをしなければならなくなったのではないかという話です。

日銀の植田総裁と会談した石破さんが、「今利上げする環境にない」と発言し、日銀に注文をつけたように見えるわけです。総理と総裁が会談して、そのような発言をしたら、それは「利上げしてはいけない」と言っているのとほぼ等しい、かなり踏み込んだ発言です。本来は政府と日銀は独立していなければならないのに、安倍元総理以上に、日銀に注文をつけてるのではないかと見られています。これに対して市場関係者からは、「石破さんは豹変した」「選挙目当てで、ぶれているのではないか」というような指摘が出ています

小川キャスター:
石破さんの言動に関しては、衆議院の早期解散や、「ぶれている」「トーンダウン」など様々言われていますが、経済面でも豹変したという指摘があったということですね。

スポーツ心理学者 田中ウルヴェ京さん:
言葉の一つひとつの重みが変わってしまいましたよね。石破さんという方の発言ではなく、石破総理という人の発言になってしまったので、どんな言葉にも敏感に反応する社会になってしまいましたから、“豹変”と感じる人がいるのは当然ですよね」

片山薫 記者:
本来、石破さんは、格差の是正や地方への分配、あるいは企業よりも労働者が潤う利益の配分にしていくべきではないかという姿勢でしたが、実際総理になってからはそういう姿勢が少しトーンダウンして、岸田さんのときの経済政策を引き継ぎぐということで、“石破カラー”を出さなくなった印象がありますね。

「物価高」「賃金」石破総理でどうなる?

藤森キャスター:
今後も気になる経済の観点から言いますと、引き続き、物価高と賃金だと思います。石破総理も既に触れている点ではありますが、まず物価高について低所得者向けの給付金や、一部の大臣が、電気・ガス・ガソリンの補助金の延長についても示唆しています。

田中ウルヴェ京さん:
補助金はやはり救済や喫緊の解決策だったりするので、始めたときにどう終わるのかということが重要なはずですが、もしも延長なのであれば、なぜ延長で、どういうふうに終わるのかということも示す必要があると思います。

片山薫 記者:
電気・ガス・ガソリンの補助金はこれまで合計で11兆円程使われていて、直近だと3か月酷暑対策として一旦一時的に再開しましたが、延長となればどんどんと財政を使っていく一方なので、どこまでやるのかという議論をしなくてはならない。簡単ではないと思います。

小川キャスター:
石破総理はどのようなことを考えているのでしょう。

片山薫 記者:
複数の大臣がこのようなことを示唆したり、考えるべきだと言っているので、今後バラマキを続けるのか、それとも石破さん本来の、必要な人にだけ絞り支援していくという考え方にしていくのか。ただこのあと選挙がありますよね。そうすると、どうしても選挙前に自民党内から、もっとお金を使うべきじゃないかという議論が出てくると思います。これ以外にも、給食費の補助や地方への支援を拡充するという意見もありますが、だんだん額が膨れ上がっていくのをどう抑えるかは一つの課題だと思います。

藤森キャスター:
それから、石破総理になって賃金はどうなるんでしょうか?こんな発言があります。「2020年代に最低賃金の平均を1500円に引き上げる」。現在はちなみに1054円。達成するのにもう5年ぐらいしかないですよね。

片山薫 記者:
日本の時給が低い、給料が低いというのは、もうみんながわかるところで、上げていくべきだと、みんな共感すると思います。ただ実際に上げるとなると、5年間で毎年8%ぐらい上がる計算になります。しかし今年5%上がっただけで、スーパーや飲食店では経営が苦しくなっているという声があります。これを5年連続で8%の賃上げをするっていうのは、多分経営者がもたないと思います。特に中小企業ですね。潰れるような企業もあるかもしれません。それを乗り越えられるのかどうか、経営者に納得が得られるかどうかは今後の難しい課題だと思います。

小川キャスター:
威勢のいい言葉に感じますが、どれだけ計算されていて、どれだけ計画立てて考えられている言葉なのかというのを、疑心暗鬼になってしまうところもありますよね。

片山薫 記者:
目標としてはいいと思いますが、実際にできるかどうかは総理に問われてくると思います。

小川キャスター:
もう経済対策に期待するしかないというところまできているようにも感じますし、少子化対策などにも直結しますよね。

田中ウルヴェ京さん:
我々これからの時代って明確な正解がない時代に入りますよね。例えば昭和の時代だったら経済成長ってこういうことだ。経済対策ってこんなふうにすると良いだろうということがわかりやすかった。ものを増やしたり、高度成長はいいことだという時代だった。でも今は経済成長の反面で、それが環境破壊になるというような、表と裏が出るようになった。その両面を見れるリーダーってどういう人なのか、その人が、どのような経済成長を日本はするべきなのかということを示せるのか、そしてそんなところを私達はどう判断するのかという難しい時代になったと思います。

小川キャスター:
そこはぶれずに理念を掲げて貫き通す姿勢というのも必要になってくるわけですよね。

藤森キャスター:
ちゃんとした説明と理念をどこまで貫けるのか。また手のひらを返せば、さらなる不信感にもつながりますよね。

片山薫 記者:
手のひらを返しすぎると、多分市場も乱高下して、さらに手のひらを返さなきゃいけなくなってしまいます。ぶれないことが求められると思います。

小川キャスター:
4日、石破総理の所信表明が行われます。経済政策に注目です。

石破総理の経済政策について「みんなの声」は

NEWS DIGアプリでは『石破総理の経済政策』について「みんなの声」を募集しました。

Q.石破総理の経済政策 期待する?

「大いに期待する」…12.8%
「やや期待する」…26.2%
「ほとんど期待しない」…34.3%
「全く期待しない」…24.5%
「その他・わからない」…2.2%

※10月3日午後11時17分時点
※統計学的手法に基づく世論調査ではありません
※動画内で紹介したアンケートは4日午前8時で終了しました

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<プロフィール>
田中ウルヴェ京さん
スポーツ心理学者(博士)
五輪メダリスト
慶應義塾大学特任准教授
こころの学びコミュニティ「iMiA(イミア)」主宰

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