◆ いつでもみんなのプロ野球!実況アナルーム10月のテーマは“日本シリーズ中継の秘話”
「ニッポン放送ショウアップナイター」のアナウンサー陣11名が週替わりで登場する月替わりの『統一テーマ』について語ってもらう“実況アナルーム”。10月のテーマはクライマックスシリーズ、日本シリーズが行われることもあり、“日本シリーズ中継の秘話”だ。
「緊張で言うと開幕戦と同じくらい緊張するかもしれないですね」。日本シリーズの実況についてこのように話した松本秀夫アナウンサーが今でも強く記憶に刻まれているのが、2007年の中日と日本ハムの日本シリーズ第5戦だ。中日が3勝1敗で迎えた第5戦、2回に第1戦で抑えられた日本ハム先発・ダルビッシュ有から平田良介が犠牲フライを放ち先制。この1点のリードを先発・山井大介が1安打も許すことなく、スコアボードに0を並べていく。そして迎えた9回。史上初となる日本シリーズでの完全試合を期待される中で、マウンドに上がったのは守護神の岩瀬仁紀だった。
「解説が関根潤三さんで、抑えの岩瀬に繋ぐのか、そのまま山井に投げさせるのか、どうなるんだろうという時にピッチャー・岩瀬とコールされたでしょう。関根さんが“落合は血の涙を流してますね”という解説で言ったんですよ。それがすごい表現だなと思って。山井に完全試合をさせてあげたい、それでも日本一という勝負に徹した時に万全な抑えに繋ぐ、山井に対するすまないという気持ちと、勝負に徹した鬼にならなければならないというところで“落合は血の涙を流していますね”と言っているのをすごく覚えています」。
1−0の9回に登板した岩瀬は、プレッシャーを跳ね除け、3人で9回表を抑えて勝利。中日が53年ぶりの日本一を達成した。
「岩瀬がリレーだけども抑えた。パーフェクトで1−0で受け取るリリーバーはどんな気持ちなんだろうと思うんだけど、岩瀬はのちに1000試合投げたり、鋼の意志というかね、それも感じたしね。日本シリーズは一番印象に残っていますね」。
岩瀬が9回の1イニングを抑えたこともそうだが、継投による完全試合での日本一ということで、実況する上でいつもと違ったりということはあったのだろうかーー
「自分としては歴史に残る実況になるので、完全試合でというのを考えていたよね。岩瀬に代わったところで半分がっかりした。でもどうなるんだろうなというのはあったからね。完全試合を1人で決めていたら、自分のテンションも色々違っただろうね」。
今年も10月12日からクライマックスシリーズファーストステージが始まり、10月26日から日本シリーズが開幕する。松本アナは「一番盛り上がるのはクライマックスシリーズのファーストステージなんだよね。と言うのは(勝ったら)2試合で決まっちゃうから1試合の密度がすごく高いのが伝わってくるんだよ。ファーストステージはすごい盛り上がる。超短期決戦だから。待ち受けているチームはファイナル、ここで負けたら俺たち何をやってきたんだよというのがあって、ファーストステージを勝ち抜いていたチームはここで勝てたら儲けもんでくるから、そこの心境の差というのは面白い。ファーストは3つのうち2つ勝つ。並々ならぬ緊張感は中継していて面白いところ」と話す。日本シリーズとともに、クライマックスシリーズファーストステージにも注目だ。
(ニッポン放送ショウアップナイター)