【ドラフト2024】中日再建のカギは先発投手と打てる外野手 甲子園で活躍の高校生右腕も候補に

0

2024年10月06日 08:30  webスポルティーバ

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

webスポルティーバ

写真

チーム事情から見るドラフト戦略2024〜中日編

 プロ野球の一大イベント、ドラフト会議が10月24日に開催される。各球団すでに指名選手をリストアップし、最終段階に入っていると思うが、チームの現状と将来を鑑み、今回のドラフトで本当に獲得すべき選手は誰なのか? 過去10年間でAクラスはわずか1回と低迷を続けている中日。立浪和義監督が今シーズン限りでの辞任を発表し、来季からは新監督が指揮を執る。チーム再建へ新たなスタートを切ることになるが、今年のドラフトで指名すべき選手は?

【得点はリーグワースト】

 9月23日にバンテリンドームで行なわれた中日と広島の一戦は、祝日とはいえ観客3万5320人。ヤクルトと最下位を争う中日の本拠地に、ほぼ満員のファンが集まったというわけだ。じつにありがたいことである。

 昔はちょっと違った。チームが勝てなくなると、途端に球場に来なくなる。今は「自分たちがチームを育てるんだ!」という意識があるのだろうか。だから、ユニフォームを着て、みんなと声を合わせて声援を送り、負けても「次こそは!」とまた球場に足を運ぶ。

 その9月23日の広島戦、中日の上位打線を眺めていて「いい打線になってきたなぁ」と思ったものだ。

 1番センター・岡林勇希、2番ショート・村松開人、3番サード・福永裕基、4番ファースト・石川昂弥、5番ライト・細川成也......地味といえば地味かもしれないが、それなりに実力者ばかりだし、それぞれの打順の役割とプレースタイルが合致しているので、すごくおさまりがいい。

 一方で、6番以下がとっかえひっかえ(失礼!)というか、まだ固定できずにいる。つまり、そのあたりが補強ポイントになってくるだろうか......。

「最近、勝ってないな」と思って、この10年のチーム成績を調べてみたら、優勝はおろか、Aクラス(3位)も2020年の一度だけ。立浪和義監督が就任した2022年から球団初の2年連続最下位を喫し、今年もここまで(10月5日現在、以下同)5位と低迷が続いている。

 それにしても低迷の要因はどこにあるのか。打てないからか? チーム打率.244はリーグ3位。優勝した巨人(チーム打率.247)とさほど変わらず、2位の阪神(チーム打率.242)よりもわずかだが上である。

 だが得点は、巨人(462点)、阪神(485点)を大きく下回る373点(リーグワースト)。やはりベンチワークというか、試合運びが稚拙なのか。ここがうまくいくようになれば、得点力は上がるはずだ。

【12球団屈指のリリーフ陣】

 今年の中日は投手陣が頑張った。なかでもリリーフ陣の充実度は、12球団でも屈指だろう。

 斎藤綱記(19ホールド/防御率2.03)、清水達也(35ホールド/防御率1.42)、藤嶋健人(14ホールド/防御率2.25)、松山晋也(40ホールド/防御率1.33)、そして絶対的守護神のライデル・マルティネス(43セーブ/防御率1.11)。

 昨年も奮闘したブルペン陣が、今年も質量ともに充実。つまりこのチームは、5、6回までに試合を壊さなければ、勝てるということだ。ならば、先発タイプがほしい。

 昨年も亜細亜大の草加勝を1位指名したが、不運にもトミー・ジョン手術を受けることに......それでもめげずに先発タイプを探そう。"下位打線"はそのあとだ。

 今年は、地元・愛知の学生球界に有望な投手がいる。

 中村優斗(諫早農業→愛知工業大/投手/176センチ・81キロ/右投右打)なら、最速159キロの快速球とスライダー、フォームで、先発すればなんとか5、6回を2点以内に抑えてくれるのではないか。体が正面を向くのが早いとつかまることを、本人がわかっているのがいい。

 チーム構成的には、小笠原慎之介につづく"先発左腕"がほしいところだろうが、適任の金丸夢斗(神港橘→関西大/投手/177センチ・77キロ/左投左打)は4、5球団からの1位指名が予想されるだけに、2位以下で"隠し玉"を持ってきたい。

 巨漢左腕なのに、複数の変化球を交えながら徹底して低めを突けるのが田代涼太(帝京→創価大/投手/189センチ・96キロ/左投左打)。ボールに角度があり、打者が高低を判断できずに打ち損じを重ねる。

 また、先発タイプといえば「このピッチャーだろう!」とピンときたのが、高尾響(広陵/投手/172センチ・73キロ/右投右打)だ。今の中日がほしいのは即戦力タイプで、高校生ではないだろう......。そんな指摘もあるかもしれないが、高尾はすぐに使える逸材である。高校生ながら、すでにピッチングに必要な要素をすべて持っている。堂々としたマウンドでの雰囲気、10勝は無理としても、6、7勝はするのではないか。

【岡林勇希、細川成也につづく3人目の外野手】

 野手の補強については、加藤翔平の引退、チームの顔である大島洋平の成績不振など、外野手が質、量ともに低下している。岡林、細川につづく"3人目の外野手"になれる選手を探したい。

 井上幹太(神村学園→金沢学院大/外野手/185センチ・96キロ/左投左打)は、左打ちの大砲候補。驚異のバックスクリーン越えの本塁打に、全国の舞台でも打球が見えなくなるほどの特大アーチを放ち、リーグ戦では本塁打王、首位打者、ベストナインと、数々のタイトルを獲ってきた。パワーだけに頼らず、柔軟性にも富むバッティングだから、変化球全盛のプロ野球でも十分対応できるだろう。中日の新監督候補として名前が挙がっている井上一樹氏とは姓のみならず、思い切りのいいバッティングスタイルまで重なる。

 地元である東海圏を意識するのなら、佐々木泰(県岐阜商→青山学院大/内野手/178センチ・82キロ/右投右打)の強打を買って、外野手で育てるというプランはどうだろう。大学1年春からクリーンアップに抜擢され、以来、常勝・青学大の中軸として責任を担いながら、今春のリーグ戦では優勝を決める3ランを放つなど、強靭なメンタリティーの持ち主であることも証明した。とことん練習できる心身の強さも「プロで伸びるタイプ」の選手である。

 過去5年間のドラフトで、上位3位までに指名した高校生投手は、高橋宏斗(中京大中京→2020年ドラフト1位)と森山暁生(阿南光→2022年ドラフト3位)のふたりしかいない。昨年は、履正社の福田幸之介をよく4位で獲れたなと、今でも感心するが、ファームを見るとイキのいい投手が少ない。

 今年の高校生投手は、比較的人材に恵まれた年のようだ。4位、5位でも体格と馬力がある"素材型"の投手を指名できるのではないか。

 修正するところがないと思われるほどバランス抜群のフォームから、145キロ前後のストレートとフォークで勝負する鈴木圭晋(横浜創学館/投手/183センチ・83キロ/右投左打)や、長身から豪快に投げ下ろす沼井伶穏(横浜隼人/投手/186センチ・82キロ/右投右打)あたりが候補に挙がる。

 そのほかにも、今年春の県大会で150キロをクリアした昆野太晴(白鴎大足利/投手/180センチ・86キロ/右投右打)、伸びのあるストレートが魅力の内山京介(豊橋中央/投手/184センチ・76キロ/右投右打)の将来性にかけてみるのも面白い。

 育成からプロ野球人生をスタートさせ、今や一軍ローテーションの座をつかみかけている4年目右腕・松木平優太というお手本がいる。松木平の成功を自信につなげてほしいものだ。

    ニュース設定