三笘薫、キャリアハイと思わせるプレーでトッテナムを翻弄 逆転勝利の立役者に

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2024年10月07日 12:21  webスポルティーバ

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 プレミアリーグ第7節、9位のブライトンが8位のトッテナム・ホットスパー(スパーズ)をホームに迎えた一戦。リーグ戦の直近4試合で勝ちがないブライトンに対して、スパーズは国内外のカップ戦を含めると5連勝を飾り、上昇気流に乗る。

 ファビアン・ハーツラー(ブライトン)、アンジェ・ポステコグルー(スパーズ)はともに攻撃的サッカーを標榜する監督である。試合は立ち上がりから高い位置で火花が散る、斬るか斬られるかの激しい撃ち合いとなった。レベルも高い。目に刺激的なプレミアリーグの魅力が凝縮された、好チーム同士の好ゲームとなった。

 前半23分、スパーズは、ブライトンのジョルジニオ・ルター(元U−21フランス代表)の強引なドリブルをピッチの中央付近でカットする。まさに好守が裏返えった態勢から、ジェームズ・マディソン(イングランド代表)、ドミニク・ソランケ(元イングランド代表)を経由して、最後はブレナン・ジョンソン(ウェールズ代表)がゴールに叩き込み、先制弾とした。

 前半37分にも素早い攻守の切りかえからティモ・ウェルナー(ドイツ代表)のラストパスを受けたマディソンが、ゴール正面から決め、2−0とした。

 しかし、試合の流れはこの直前からブライトンに傾いていた。それは三笘薫のウイングプレーと深い関係にあった。

 前半32分、MFカルロス・バレバ(カメルーン代表)からサイドチェンジ気味の大きな対角線パスを受けた三笘は、右足のアウトで決定的なパスを中央に折り返す。ダニー・ウェルベック(元イングランド代表)のスライディングシュートはゴールをわずかに逸れたが、三笘がマーカーであるペドロ・ポロ(元スペイン代表)に対して優位に立っていることは、このあたりで鮮明になっていた。

 この1分後の前半33分、三笘は右ウイング、ヤンクバ・ミンテ(ガンビア代表)の対角線パスを受けると、今度は縦抜けを敢行。鮮やかに決める。36分にはMFジャック・ヒンシェルウッド(U−19イングランド代表)にも質の高い折り返しを送っている。

 追い上げムードだっただけに、その直後に浴びた0−2とされる失点は、ブライトンにとって手痛い被弾であるかに見えた。

【両軍のなかで最も輝いていた】

 だが、結果を言ってしまえば、ブライトンはここから3連続ゴールを挙げ、逆転勝利を収めた。三笘はその最大の立役者と言っても過言ではない活躍だった。採点するならば10点満点で7.5。マン・オブ・ザ・マッチ級である。この日、両軍のなかで最も輝いていた選手と言いきれる、今季一番の活躍だった。

 後半3分、後半から交代で入った左SBペルビス・エストゥピニャン(エクアドル代表)の縦パスを、ペドロ・ポロのマークをかい潜るように受けた三笘は、左足で直ちに折り返した。相手がクリアし損ねたボールをミンテが決め、スコアを2−1とする。

 その10分後の後半13分に生まれた2−2とする同点弾にも、三笘は深く関与した。CBルイス・ダンク(元イングランド代表)が高めで構えたエストゥピニャンにボールを送ると、三笘は大外から内にポジションを移動。エストゥピニャンから中央でボールを受けるや、右前方を走る1トップ下、ルターに向けて方向転換。スルーパスを送り、ゴールをアシストした。

 後半11分、後半15分にはたて続けにゴール正面に切り込みシュートも放っている。後半11分のシーンは相手のパスを自らプレッシングでカット。ひとり舞台だった。

 攻めてよし、守ってよし。左サイドで受けてよし、真ん中で受けてもよし。何よりプレーの幅が大きく広がった。また俊敏でステップワークもいい。このスピード感溢れる牛若丸的な身軽な動きでヒラヒラと相手をかわすステップワークに、スパーズは翻弄されるばかりだった。左SBエストゥピニャンとのコンビネーションも文句なし。加えて頭脳明晰だ。自己中心的なオレオレ系ではまったくない。三笘がいるとチームプレーは円滑になる。アタッカーでありながらフルタイム出場を果たす理由である。

 現在の日本代表で一番の出世頭と言えば、遠藤航(リバプール)、冨安健洋(アーセナル)を思い浮かべるが、ボールを操作する力で言えば、三笘が断トツのナンバーワンだ。中田英寿、小野伸二、本田圭佑らをも超えている。ワールドクラスと言いたくなる。

 三笘をどう活かすか。10日(サウジアラビア戦)と15日(オーストラリア戦)に日本代表戦が迫っているなかでこのプレーを見せられると、三笘をどう配置すれば日本代表のマックス値は上がるかという問いに、答えは見えてくる。

 ウイングバックでは絶対にない。「いい守備からいい攻撃へ」が口癖の森保一日本代表監督だが、この試合で2−2とする同点弾のボール奪取&アシストプレーは、ウイングバックでは無理なのだ。森保ジャパンの三笘よりブライトンの三笘のほうが何倍も魅力的だ。今が旬。キャリアハイを迎えていると言っても過言ではない。

 ブライトンはこの勝利でプレミアの6位に上昇。来季のチャンピオンズリーグ出場圏内が見えてきた。

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