一般財団法人日本ハラスメントカウンセラー協会(東京都千代田区)は、このほど「ハラスメント意識」に関する調査結果を発表しました。同調査によると、ハラスメント意識の高まりによって「働きにくくなった」と感じる管理職・中間管理職が多いことがわかりました。その一方で、ハラスメントに関する研修については、「実施されたことがない」と答えた人が最も多くなりました。
調査は、全国の20〜60代の会社員(正規雇用)1049人を対象として、2024年5月にインターネットで実施されました。
なお、役職別内訳は「役員」(12人)、「部長、次長級」(128人)、「課長、課長補佐級」(169人)、「係長級」(119人)、「主査、主事級」(106人)、「特になし」(493人)、「その他」(22人)となっています。
はじめに、ハラスメント意識の高まりによって感じている「働き方の変化」について聞いたところ、中間管理職層で「働きにくくなった」(部長・次長級24.2%、課長・課長補佐級20.7%、係長級16.0%)、「職場が暗くなった」(同3.9%、同4.1%、同5.0%)、「効率的に仕事ができなくなった」(同4.7%、同4.1%、同5.0%)などの回答が多くなり、ポジティブな変化だけでなくネガティブな変化も感じている割合が多い結果になりました。
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次に、「ハラスメントを受けた経験」について聞いたところ、「パワハラ」(38.3%)、「厳しく叱責された、不当な嫌がらせを受けたなど(ハラスメントに該当するものかは不明)」(15.1%)、「セクハラ」(10.9%)といった回答が上位に挙がりました。
また、ハラスメントを受けた経験がある559人に「パワハラやセクハラ、マタハラを受けた後(カスハラは除く)に取った行動」を尋ねたところ、「上司に相談した」(20.4%)や「同僚に相談した」(18.6%)などが挙げられたものの、「特に何もしなかった」(33.6%)が最多となり、「社内の相談窓口を利用した」人は、専門機関として設置されているにも拘らず12.3%にとどまりました。
実際にハラスメントを受けたことがある人の割合などが明らかになりましたが、「ハラスメント防止研修」は直近3年以内にどの程度実施されているのでしょうか。
調査の結果、「年に1回実施されている」(20.9%)や「2〜3回」(11.4%)などが挙がった一方、最も多かったのは「実施されたことがない」(33.5%)となり、まだまだ企業の教育やハラスメント防止研修は十分と言えない様子がうかがえます。
また、直近3年以内で「身の周りに起きたハラスメント(パワハラやセクハラ、マタハラなど)の発生頻度」について、従業員規模別に調べたところ、「31〜50人」「51〜100人」の企業では「毎月・日常的に起きている」(31〜50人15.1%、51〜100人19.8%)の割合が高くなった一方、「10万1人以上」の企業では4.9%に減少していることから、企業規模が大きくなればなるほど、「全体でのハラスメント発生が気づかれにくい」といった可能性が示唆されました。
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最後に、2022年4月以降に設置が義務化となった「ハラスメント相談窓口」について尋ねたところ、全体の30.7%が「有効に機能している」と感じている一方で、「機能していない」が9.3%、「相談窓口が設置されていない」は17.5%に上り、ハラスメント相談窓口が浸透していない実状が浮き彫りになりました。