袴田巌さん(88)の再審無罪判決に対し、検察側が控訴断念を表明したことを受け、姉のひで子さん(91)と弁護団は8日、静岡市内で記者会見した。ひで子さんは「一件落着で、とてもうれしく思っている」と喜びをあらわにした。
ひで子さんは午後3時半ごろ、報道で控訴断念について知った。弁護団の小川秀世事務局長が午後5時ごろ、検察に電話をかけて控訴断念を確認し、ひで子さんに正式に連絡。ひで子さんは支援者らと抱き合って喜んだという。
会見でひで子さんは「巌が死刑囚でなくなることがうれしい」と笑顔を見せた。小川事務局長は無罪が確定することに「予想通り」とする一方、検察から謝罪がないことに不満も。「これを契機に袴田事件がどういうことであったかについて、裁判所も含めて改めて検討しなければいけない」と強く訴えた。
ひで子さんは、無罪確定後の袴田さんとの過ごし方について「平凡に静かに暮らしていきたい」と話し、「(袴田さんには)長生きしてほしい。もう10年くらいは生きてほしい」とほほ笑んだ。
「再審法」改正については「巌だけが助かればいいとは思っていない。大いに協力してまいりたい」と意気込んだ。
袴田巌さんの再審で、検察が控訴を断念したと報告を受け、支援者と抱き合って喜ぶ姉のひで子さん=8日、浜松市(袴田さん支援クラブ提供)