心身ともに健康でいるためには、質の高い睡眠をとることがとても大きなポイントになります。実はある飲み物を摂取すると、睡眠の質が改善し、認知症の予防効果も得られることがわかりました。そこで今回は、そのある飲み物の持つさまざまな効果について、YouTubeチャンネルの登録者数が37万人を誇る、医師でヘルスコーチの石黒成治先生に教えてもらいました。
活性物質が豊富に含まれている「抹茶」
抹茶には、ビタミンCやビタミンEといった細胞の老化を防ぐ作用がある抗酸化物質や、細胞の機能や神経の働きを正常に保つために重要な役割を果たすマグネシウムやカリウムなど、さまざまな活性物質が含まれています。
精神のリラックスを促すアミノ酸のテアニン、体の炎症を抑えるポリフェノール、細胞の損傷を改善するカテキンも含まれているため、脳にとっていいものばかりが抹茶には入っています。
そこで、60〜85歳の人を99人集めて、抹茶もしくは抹茶以外のものを与える研究が行われました。
そのうち、64人は認知機能が低下している人で、35人は認知症の前段階である軽度の認知症(MCI)がある人を組み入れました。
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ただ実際のところ、抹茶を摂っても抹茶以外のものを摂っても、認知機能の改善効果は認められませんでした。
抹茶によって「睡眠の質」が改善される
しかし、抹茶を摂取することによって、睡眠の質が明らかに改善するという変化が見られました。
高齢者にとって質の高い睡眠をとることは、心身ともに健康を維持する上で必要不可欠ですし、認知症の発症を予防するためにも非常に重要です。
抹茶に含まれるテアニンによって、睡眠の質の改善作用が起こっていると考えられます。
睡眠が不足すれば認知症のリスクが上がることは過去の研究報告でもありますし、記憶力にも悪影響を与えます。
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顔の表情を読み取る能力も改善する
さらに、顔の表情を認識したり、単語の意味を理解したりする能力も抹茶の摂取によって改善されました。
顔の表情を認識する能力は、社会的にコミュニケーションをとる上でとても大切です。
軽度認知障害(MCI)の人は、顔の表情を読み取る能力が落ちてしまっていて、これは認知症の初期症状の1つと考えられています。
抹茶にはカフェインが含まれているので、飲む時間がポイントになります。
抹茶にはリラックス効果のあるテアニンも含まれているので、午前中から午後の早い時間に飲むようにすると、リラックス効果とその日の睡眠の質を上げる効果を得られるでしょう。
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(TEXT:山田周平)
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画像提供:Adobe Stock
石黒成治先生
消化器外科医、ヘルスコーチ。
1973年、名古屋市生まれ。1997年、名古屋大学医学部卒。国立がん研究センター中央病院で大腸癌外科治療のトレーニングを受ける。その後、名古屋大学医学部附属病院、愛知県がんセンター中央病院、愛知医科大学病院に勤務する。2018年から予防医療を行うヘルスコーチとしての活動を開始。腸内環境の改善法、薬に頼らない健康法の普及を目的に、メールマガジン、YouTube、Instagram、Facebookなどで知識、情報を分かりやすく発信している。Dr Ishiguro YouTubeチャンネル登録者数は37万人超(2024年1月時点)。