府中牝馬Sは来年で6度目のレース名変更!? 長い歴史持つ名物重賞のこれまで

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2024年10月10日 07:30  netkeiba

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22年府中牝馬Sの直線(撮影:下野雄規)
 東京競馬場で14日(月)に行われる府中牝馬ステークス(3歳上牝・GII・芝1800m)は、現在JRAで実施されている古馬が出走可能な牝馬限定重賞の中で、もっとも長い歴史を持つ。ゆえに名称や競走条件はたびたび変更されているが、先日発表された来年度の競走体系によれば、府中牝馬SからアイルランドTに改称されるとのこと。これは実に6度目のレース名変更となる。

 創設されたのは1953年で、当時は東京牝馬特別の名前だった。東京芝2000mのハンデキャップ戦として行われ、記念すべき第1回を制したのは3歳牝馬のチエリオ。同馬は『宮本武蔵』や『新・平家物語』など、歴史テーマの大衆小説を執筆した吉川英治氏が所有しており、5歳時には啓衆社主催の年間表彰制度(JRA賞の前身とされる)で、初代の最良5歳以上牝馬に選出された。

 55年には芝1600mに距離短縮。60年代に入るとレース名が頻繁に変更となり、64年に東京タイムズ杯東京牝馬特別、65年に東京タイムズ杯牝馬特別、67年には牝馬東京タイムズ杯と改称を重ねる。施行条件も時代に合わせて変化し、69年には負担重量が別定に変更。71年に勝ったトウメイは続く天皇賞(秋)、有馬記念を勝ち、啓衆社賞年度代表馬、最優秀5歳以上牝馬に選ばれている。

 以降、長らくタイムズ杯として親しまれてきたが、92年から府中牝馬ステークスに変更。同年7月31日をもって、『東京タイムズ』も46年の歴史に終止符を打ち休刊している。96年には1800mへと延長され、同年から古馬開放されたエリザベス女王杯への前哨戦となった。11年にはGIIへ格上げされ、注目度はますます上昇。17年に日本とアイルランドの外交樹立60周年記念として、アイルランドトロフィー府中牝馬ステークスに変わり、近年ではリスグラシューやラッキーライラック、アカイイトがここをステップにエリザベス女王杯を制すなど、重要度は年々増している。

 そんな歴史あるレースは、来年からアイルランドTというタイトルになる。「府中牝馬S」の名前そのものは、マーメイドSを改称する形で残存するが、6回も競走名が変わったレースはそう多く無いのではないか。名前が変わっても、秋の女王決定戦に通ずる前哨戦の立ち位置には変化なし。今後も秋の東京競馬の名物重賞として、歴史を重ねていくことだろう。

【レース名改称の年表】
53年…東京牝馬特別
64年…東京タイムズ杯東京牝馬特別
65年…東京タイムズ杯牝馬特別
67年…牝馬東京タイムズ杯
92年…府中牝馬ステークス
17年…アイルランドトロフィー府中牝馬ステークス
25年…アイルランドトロフィー(予定)

※マーメイドSを府中牝馬Sに改称のうえ、6月にGIIIのハンデ戦として実施。

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