セブン&アイ・ホールディングスは10日、イトーヨーカ堂などのスーパーや外食、専門店の事業を束ねる中間持ち株会社を11日付で設立すると発表した。将来の事業の上場を見据えた措置。これに伴い、来年に社名を「セブン―イレブン・コーポレーション(仮称)」に変更する。外資の買収提案を受ける中、主力のコンビニエンスストア以外の事業を早期に切り出し、企業価値を高めることで買収を避ける狙いがあるとみられる。
井阪隆一社長はオンライン記者会見で、グループ再編の狙いについて「スーパー事業は成長スピードが違い、同じ屋根の下で成長投資がしづらい」と述べ、コンビニに経営資源を集中する考えを強調。カナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールから約7兆円の買収提案を受けていることに関しては「企業価値を上げるための提案であれば真摯(しんし)に対応する」と語った。
中間持ち株会社の社名は「ヨーク・ホールディングス」。セブン&アイの全額出資だが、外部の出資受け入れや創業家の伊藤家との共同出資などの形で2026年2月期中に持ち分法適用会社化し、将来の上場に向けて収益力を高める。
ヨーク社の傘下にはスーパー事業会社のほか、雑貨店ロフトやベビー用品店の赤ちゃん本舗、ファミリーレストラン「デニーズ」を運営するセブン&アイ・フードシステムズなど31社が含まれる。さらに、セブン銀行を核とする金融事業についても「最適な資本関係の在り方を検討する」(井阪氏)という。
10日発表した24年8月中間連結決算は、国内外ともにコンビニが苦戦し、本業のもうけを示す営業利益が前年同期比22.4%減の1869億円となった。さらに、ヨーカ堂のネットスーパー事業撤退に伴う特別損失約458億円を計上。25年2月期の純利益予想を2930億円から1630億円に下方修正した。
2024年8月中間連結決算のオンライン説明会に臨むセブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長=10日午後