10月相場の中で下がりやすい業種は?
10月は、3月決算企業の中間決算が活発化することから様子見ムードが強まるため、この時期は相場が冷え込みやすい月として知られています。そんな10月相場の中でも特に下がりやすい傾向がある業種について、過去のデータを使って調べてみました。
検証条件
■検証対象:日経平均採用銘柄(225銘柄)■検証期間:2000年1月1日〜2024年8月31日
■1銘柄当たりの投資金額:20万円
■買い条件:9月末の寄り付きで買い
■売り条件:25日経過後の翌営業日寄り付きで売り
このように9月末にある業種の銘柄を全て購入し、25日経過後に売却した場合について検証を行います。
10月相場で不調だった業種その1:ガス
まず、10月相場で不調だった業種はガスです。勝率:27.66%
勝ち数:13回
負け数:34回
引き分け数:1回
平均損益(円):−4,117円
平均損益(率):−2.06%
平均利益(円):8,290円
平均利益(率):4.15%
平均損失(円):−8,983円
平均損失(率):−4.49%
合計損益(円):−197,637円
合計損益(率):−98.82%
合計利益(円):107,776円
合計利益(率):53.89%
合計損失(円):−305,413円
合計損失(率):−152.72%
PF(プロフィット・ファクター):0.353
平均保持日数:26.63日
10月相場で不調だった業種その2:パルプ・紙
次に、パルプ・紙銘柄も10月相場では不調といえるでしょう。
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勝率:34.29%
勝ち数:12回
負け数:23回
引き分け数:1回
平均損益(円):−3,542円
平均損益(率):−1.77%
平均利益(円):15,188円
平均利益(率):7.59%
平均損失(円):−13,468円
平均損失(率):−6.73%
合計損益(円):−127,518円
合計損益(率):−63.76%
合計利益(円):182,253円
合計利益(率):91.13%
合計損失(円):−309,771円
合計損失(率):−154.89%
PF(プロフィット・ファクター):0.588
平均保持日数:26.58日
10月相場で不調だった業種その3:空運
最後にもう1つ、10月相場で不調だったのは空運関連です。勝率:42.11%
勝ち数:16回
負け数:22回
引き分け数:0回
平均損益(円):−1,723円
平均損益(率):−0.86%
平均利益(円):9,172円
平均利益(率):4.59%
平均損失(円):−9,647円
平均損失(率):−4.82%
合計損益(円):−65,487円
合計損益(率):−32.74%
合計利益(円):146,755円
合計利益(率):73.38%
合計損失(円):−212,242円
合計損失(率):−106.13%
PF(プロフィット・ファクター):0.691
平均保持日数:26.61日
以上が、10月相場の中でも冷え込む傾向が強かった3業種の検証結果です。検証結果を見てみると、平均損益はマイナスです。したがって「ガス」「パルプ・紙」「空運」の3業種は、10月に下がりやすい傾向があると判断できるでしょう。
10月の低成績銘柄ランキング
では最後に、これらの業種の銘柄の中でも、10月相場で特に成績が不調だった個別銘柄をご紹介します。表は、先ほどの検証結果において特に勝率の低かった銘柄のランキングです。
<9531>東京ガス【勝率:25.00%】
<9532>大阪ガス【勝率:30.43%】
<3861>王子ホールディングス【勝率:30.43%】
上記などが、10月相場に冷え込みやすい銘柄だといえるでしょう。
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どの業種の個別銘柄も、月によって株価が上がりやすいときと下がりやすいときがあります。今回のような簡単な検証は、10月の投資戦略を考える上での有効な判断材料の1つになるのではないでしょうか。
10月は株式市場全体が軟調に推移しやすい傾向があるので、成績が不調な銘柄を避けて成績が良好な銘柄でトレードすれば、よりリスクを抑えられるでしょう。
※このテーマでの検証については、【システムトレードの達人】を使って検証しています。記事の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容の正確性および安全性、利用者にとっての有用性を保証するものではありません。当社および関係者は一切の責任を負わないものとします。投資判断はご自身の責任でお願いします
文:西村 剛(証券アナリスト、ファンドマネジャー)
国内運用会社にて中小型株式ファンドマネージャー兼アナリストを経て独立。個人投資家に分かりやすく株式投資を伝授すべく、講演や執筆を行う。『夕刊フジ』3年連続 株-1グランプリ グランドチャンピオン。
(文:西村 剛(証券アナリスト、ファンドマネジャー))
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