15日に公示される衆院選に向け、与野党の選挙公約が出そろってきた。最大の争点となる「政治とカネ」に関し、自民党は存続を決めていた政策活動費の廃止の可能性に言及。野党からは政治資金規正法の再改正や、政策活動費の廃止、政治家本人の罰則強化などが挙がり、政治不信の払拭へ改革姿勢をアピールしている。
「政治資金の問題は信頼回復の一丁目一番地だ」。自民党の小野寺五典政調会長は10日、公約発表の記者会見でこう強調し、与野党協議などを通じて、制度の見直しに取り組む考えを示した。
自民が公約で柱に据えたのは、先の通常国会で成立した改正政治資金規正法の付則で「10年後の領収書公開」が定められた政策活動費。石破茂首相の国会答弁に沿って「将来的な廃止も念頭」に検討する方針を示した。ただ、野党内には自民が廃止に踏み切るかどうか懐疑的な見方が少なくない。
調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開を掲げたが、首相が総裁選で主張した政党運営の在り方などを定める「政党法」制定は含まれなかった。
立憲民主党は政策活動費の廃止と合わせ、企業・団体献金禁止に向けた「政治資金規正法の再改正」を掲げた。旧文通費の使途公開や裏金事件の真相究明を進め、「金権腐敗政治を終わらせる」と訴えた。世襲議員を数多く抱える自民を念頭に、親族間で政治資金の引き継ぎを禁じる措置を提起した。政治家本人の責任や罰則の強化も打ち出した。
日本維新の会は「政治腐敗の浄化」をうたう。政策活動費の廃止によって「政界から領収書のいらないカネを一掃する」と強調。企業・団体献金の全面禁止、企業・団体のパーティー券購入禁止などを主張した。
公明党は重点政策で、政策活動費の廃止を打ち出し、野党各党と足並みをそろえた。旧文通費の使途公開については「来年の通常国会までに改正を目指す」と唱え、政治資金をチェックする第三者機関設置を重視する。
共産党はパーティー券購入を含む企業・団体献金の全面禁止や、税金を原資とする政党助成金の廃止を訴える。