「いつまでも若くありたい」 歳を重ねていくと、こんな願いを持つ人が増えていくのではないでしょうか。老化は避けられないものではありますが、実は生活習慣などを見直していくだけで、老化を遅らせることはできるのです。そこで今回は、アンチエイジングを専門とする和田秀樹医師が監修した『老けない習慣ベスト100』(総合法令出版株式会社)から、老化を遅らせ、若々しさを保つ食習慣について少しだけお届けします。
あなたの焼き方は大丈夫?
若々しさを保つためのお肉の焼き方を伝授!
ステーキを食べるときには、人それぞれ焼き方や焼き加減にこだわりがあるものです。
血の滴るようなレアから、ほど良く火を通したミディアム、こんがり焼いたウェルダンまでありますが、老化を防ぐ焼き加減は、実はレアになります。
老化には、生活習慣病や認知症、シミやシワなどの原因となるAGEs (エイジス)が大きく関わっています。
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AGEsは、食べ物を焼き過ぎるとできてしまう「焦げ」状態と同じもの。このAGEsが、体内のいたるところに蓄積されて、病気の原因や老化の原因となっていくわけです。当然、食品中に含まれるAGEsが少ない方が老化防止には良いということです。
高温で調理されたものほど食品中のAGEsは多くなり、調理法では「蒸す」「ゆでる」「煮る」「炒める」「焼く」「揚げる」の順に食品中のAGEsは多くなります。最も少ないのは「生」状態の食品です。
そういったAGEsの観点からレアをすすめるわけですが、もちろん生肉が一番AGEsが少なく、表面を軽く炙っただけの超レアであれば生とほとんど変わりません。この超レアとしっかりと焼くウェルダンでは、AGESの量が約15倍も違ってきます。
たんぱく質を効率よく摂取するためにステーキをと思っていても、老化を考えるなら、食べものから摂取するAGESを少なくすることが肝心です。牛肉のステーキは、ウェルダンやミディアムではなくレアを。さらにいえば、牛肉ならステーキではなく、しゃぶしゃぶにするとAGEsの量を抑えられます。
もうひとつ、牛肉を自分の好きな焼き加減にして食べられる焼肉ですが、こちらも「老ける焼き方」と「老けない焼き方」があります。
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まず片面を焼き、焼き色がついてからひっくり返し、もう片面にも焼き色(さらには多少の焦げ)がついたら食べる、という焼き方が普通かと思います。香ばしさも手伝ってお肉をおいしくいただけると思いますが、これではAGEsが増える「老ける焼き方」になっています。
一方、「老けない焼き方」は、頻繁に肉をひっくり返しながら、表面に強い焼き色をつけないように火を通していく焼き方になります。
この焼き方の違いでAGEsの量を2〜3割も減らすことができます。ぜひ試してみてください。
本文は『老けない習慣ベスト100』(総合法令出版株式会社)より一部抜粋・編集・追記しています。
画像提供:Adobe Stock
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監修者メッセージ
AGEsが少ない方が老化防止には良いわけですが、AGEsを気にする(お肉の焼き方や調理方法を気にする)あまり、お肉料理や食事を楽しめなくなってしまうことも問題です。
「今日はおいしいお肉が食べたい」などと、人間はなぜお肉をおいしいと感じるかというと、生物進化の過程で「体に必要なものを美味しく感じるように進化」したからです。高齢になると粗食になる方が少なくありません。そんな低カロリー、低栄養、低脂肪の食事を続けていると、さらに老化のスピードは加速します。
食べることは人生の楽しみです。AGEsを気にする気持ちはわかりますが、それで楽しみが減るくらいなら、焦げを気にしつつ、好きな食べ方で好きなお肉や料理を楽しみ、脳にも体にも十分な栄養を与えることが、アンチエイジングにつながるのです。
書籍紹介
『老けない習慣ベスト100』(総合法令出版株式会社)
歳を重ねても若々しい人がいる一方、体力、気力の衰えを感じる人は多い。そんな、体も見た目も若々しい人は、老ける人と何が違うのか?
本書では、医師や大学等の研究機関から発表されている、いわゆる老けない習慣、老化スピードを遅くする、長生きに必要な事柄を100集めて紹介。
脳の老化を防ぐ思考、行動、アンチエイジングに効く食べ物や栄養、若々しい体力を維持するための運動やボディケア、ストレスをためない人間関係など、老けない習慣を100ピックアップしました。
本書の監修は、精神科医で高齢者向け生活習慣の著書も多い和田秀樹先生。
【目次】
第1章 老化を予防する 脳に効く行動
第2章 老化を予防する 日々の振る舞い
第3章 老化を予防する 食べ物や食事
第4章 老化を予防する 運動とボディケア
第5章 老化を予防する 人との付き合い方
監修者紹介
和田 秀樹(わだ ひでき)
1960年大阪市生まれ。1985年東京大学医学部卒業。東京大学医学部付属病院精神神経科、老人科、神経内科にて研修、東京大学医学部付属病院精神神経科助手、アメリカカール・メニンガー精神医学校国際フェローなどを経て、現在、国際医療福祉大学特任教授(臨床心理学)、川崎幸病院精神科顧問、一橋大学経済学部非常勤講師、和田秀樹こころと体のクリニック(アンチエイジングとエグゼクティブカウンセリングに特化したクリニック)院長。