「ラーメンを注文しただけなのに、他のお客さんの前で店主から怒鳴られてしまいました。慰謝料を請求できないでしょうか」。このような相談が弁護士ドットコムに寄せられています。
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相談者は、ラーメン屋でラーメンを注文したところ、店主から「何言ってるかわかんねえよ!」と怒鳴られました。相談者は、読み方を間違えたと思い、読み方を変えて再度注文しましたが、「そんなもんねえよこの店は!もうちょい時間あげるから後で注文しろ!」とまた怒鳴られてしまいました。
相談者は、他の客の前で怒鳴られたことや、店主の態度に憤慨していますが、店側に何らかの法的責任は生じるのでしょうか、櫻井俊宏弁護士に聞きました。
——このようなケースで、店側に法的責任を問えるのでしょうか
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言われもなく罵倒されたということで、民事上の不法行為(民法709条、710条)の成立が問題になります。
ただし、不法行為が成立するには、(1)違法な行為であること、(2)故意または過失があること、(3) (1)に基づき損害が生じていること等の要件を満たす必要があります。
本件では、相談者は他の客の前で怒鳴られていることにより「憤慨」していますが、当該行為によって民事上の不法行為責任が生じる程度に精神的に傷つけられたといえる可能性は低いでしょう。
それゆえ、精神的損害が生じているとはいえず、民事裁判で賠償は認められにくいと考えます。
——刑事責任については、どのように考えられますか
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刑事責任としては、理論的には侮辱罪(刑法231条。事実を適示せずに、人の社会的評価を害し名誉感情を害する表示を行うこと。)や、飲食店等公衆の面前での暴言について取り締まる軽犯罪法1条5号違反の可能性が考えられます。
ただ、いずれも刑が軽い犯罪(最高でも侮辱罪は1年の懲役、軽犯罪法は30日の拘留)であるので、警察も他の重大事件を優先し、そう簡単には取り扱ってくれません。少なくとも、録音で証拠が残っているという場合でないと捜査に乗り出してはくれないでしょう。
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このような暴言をされたことで法的責任を問うには、暴言の内容、頻度、態様等についてきちんとした証拠を取り、精神的に病んでしまったと言えるような精神的損害が必要ということです。
また店側としては、このような罵倒をしたことが録音や録画をされ、SNSで拡散されてしまった場合、炎上してしまう可能性があります。店側の対応としては、あくまで客との関係は対等でありつつ、発言によっては炎上する可能性があるといったレピュテーションリスクに気を配ったサービスの提供が求められているといえます。
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【取材協力弁護士】
櫻井 俊宏(さくらい・としひろ)弁護士
企業法務・交通事故・相続・離婚問題等を得意としている千代田区・青梅市の弁護士法人アズバーズ代表弁護士。中央大学の法律顧問(法実務カウンセル)を担当している。応援団出身であり現在監督。「弁護士 ラーメン」と検索すると自身のラーメンブログが一番上に出てくる程のラーメン通。
事務所名:弁護士法人アズバーズ
事務所URL:http://as-birds.com
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